明らかにおかしいと思う矛盾をつき、売りポジションを持つ、そのストレス部分が非常に伝わってきます。また儲けた後も、それほど気持ちの良いものではないということも。
本書が勝者の物語であるにもかかわらず嫌味ではないのは、そうした心理状態までも書かれているからでしょうか。
本書にも書かれていますが、ウォール街の負債は、納税者に広くなすりつけられ、それによって主宰者たちは私腹を痛めずに済んでいます。このあたりに世の無常さを感じ得ずにはいられません。
あと、本書の帯は『アベノミクスで儲けたい人はこれを読め』とありました。
あとがきによるとそれは、「日本の破綻に賭けろ」ということのようです。
日本の破綻に賭けるポジションをとるということは、この本の主人公のような気分になるでしょう。
まわりはその行動に理解を示しません。
そして儲かったとしても決して気持ちのいいものでもないということを。
- 作者: マイケルルイス,Michael Lewis,東江一紀
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2013/03/08
- メディア: 文庫
- 購入: 1人 クリック: 30回
- この商品を含むブログ (6件) を見る