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(読書)日光東照宮の謎/高藤春俊(家康のセルフプロデュースすげー)

先日の日光旅行を前に東照宮ってどういうところかを勉強するために読んだ本。

日光東照宮の住職さんが書かれた本で、多少身内びいきなところもあるが、非常にわかりやすく東照宮に秘められた謎を読むことができました。

東照宮に隠されたコスモロジー

一番驚かされたのが、この日光東照宮という場所のコスモロジーについてです。東照宮とは徳川家康という実在の人物を神として祀っている。実在の人物を祀るのは、他では菅原道真が有名ですよね。
 
まず日光という土地は江戸の北にある。これは江戸の鬼門としての場所である。さらに家康が一旦安置された久能山(静岡)と日光の間には富士山がある。つまり一旦安置後、富士(不死)を経て、日光で神になって祀られるというストーリーである。
この久能山は、京都と家康ゆかりの地、岡崎、鳳来寺山とを結ぶ東西の一直線上にある。
古き日本でここまで考えられていたとは驚きです。
 
さらに日光東照宮の代名詞の陽明門、本殿、奥社はそれぞれ南北線上にあり、北極星を中心とした宇宙の中心にあるという風にも捉えられる。
本書内に陽明門の夜の星の動きを撮った写真が掲載されていますが、これを見ると確かに宇宙の中心という風にも見えてきます。
ちなみに、この北極星を使った権威象徴は、中国由来でよくあるといえばよくあります。北側に拝殿を設ければよいのですから。
 
こうして地理的・建築的にも権威をしめし、徳川家康は,神となり(自分が作った街である)江戸を守ることにより、自分のストーリーを完結させています
これってよく考えると凄い自己演出ですよね。
家康のセルフプロデュースすげー。

 

日光東照宮の謎 (講談社現代新書)

日光東照宮の謎 (講談社現代新書)