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(読書)ローマ人の物語 勝者の混迷/塩野七生

少しづつ読み進めている塩野七生の「ローマ人の物語」です。全部で40巻の超大作ですので、ぼちぼち進めます。

 
この「勝者の混迷」に書かれている時代は、ハンニバル戦記からユリウス・カエサルというスーパースターが登場する時代の狭間となります。非常にコロコロと状況も二転三転するし、それに伴い登場人物も多い。
かつてハンニバルが予言した
「いかなる強大国といえども、長期にわたり安泰であり続けることはできない。国外には敵を持たなくなっても、国内に敵を持つようになるからだ」
という予言から本書が始まるように、この「勝者の混迷」では、地中海の覇者となったローマの国内のゴタゴタが延々と続く。
 
グラックス兄弟の暗殺に始まる時代では、元老院対民衆という図式ができあがる。これはその後の100年に及ぶ内乱の根本的な問題となっている。
その後、ガイウス・マリウスによる軍政改革は、スッラ、ポンペウス、カエサルが力をつける土壌になる。
マリウスの後、キンナの時代を経て、独裁官となったルキウス・スッラの時代には都市国家のローマから国としてのローマという国の在り方自体も変えてしまう。
このスッラは、非常にキレもので、この国家が不安定である原因は元老院がしっかりしていないと考え、政治と軍事の分離を図り、元老院体制を修繕しようとする。
しかしスッラ死後、このまたこの元老院体制がほころび始める。スッラの死後、力を持ったのは、スペイン、地中海の海賊の一掃、オリエント遠征と数々の戦功を重ねた名将ポンペイウスであった。登場のポンペイウスは、軍事力、政治力、民衆の支持、すべてを手に入れることができた。
しかし本書の言葉を借りると、ポンペイウスは、ハンニバルが予言した「内臓疾患」を克服し変革する「偉大な個人」ではなかった。こういう言葉で本書は締めくくられています。
 
スーパースターの間の時代で、中々ややこしい時代でしたが、この時代背景をわかることで、次のユリウス・カエサルについて深く理解できることになります。
 
さぁ、次はいよいよユリウス・カエサルの登場です。

 

ローマ人の物語 (6) ― 勝者の混迷(上) (新潮文庫)

ローマ人の物語 (6) ― 勝者の混迷(上) (新潮文庫)

 
ローマ人の物語 (7) ― 勝者の混迷(下) (新潮文庫)

ローマ人の物語 (7) ― 勝者の混迷(下) (新潮文庫)