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(映画)クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツオトナ帝国の逆襲

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★★★★☆(DVD)

 
子供とDVDにて鑑賞。クレヨンしんちゃん映画の中でも傑作と言われる1本。
噂通りの傑作映画でした。落涙必至のポイントも多々あります。これを子供映画で、さらに90分という短い映画の中にまとめ上げたのがすごいです。

あらすじと落涙ポイント

昔懐かしいテレビ番組映画、暮らし等が再現された「20世紀」というテーマパークが日本各地で開催されていた。毎日付き合わされていい加減辟易しているしんのすけら子供達を尻目に、ひろしやみさえら大人達は、懐かしさに触れて20世紀博を満喫する。ある晩、テレビで『20世紀博』から「明日、お迎えにあがります」という放送があり、これを見た大人達は突然人が変わったようになり、すぐさま眠りについてしまった。
翌朝、町中の大人達に異変が起こっていた。大人達は家事や仕事も忘れて遊びほうけ、子供達を無視していたのだ。しばらくすると、街中に沢山のオート三輪が「証城寺の狸囃子」の曲を流しながら現れた。それを見聞きした大人達は皆それに乗り込み、子供達を置き去りにしてどこかへ走り去ってしまう。
これは秘密結社「イエスタデイ・ワンスモア」による、大人を子供に戻して「古き良き昭和」を再現し、未来を放棄するという、恐るべき“オトナ帝国”化計画の始まりだった。
はたしてしんのすけ達は親たちを、そして未来を取り戻すことができるだろうか・・・(Wikipedia

完全に大人向けとして作ったしんちゃんシリーズでは異質の1本です。大人向けであるがゆえの落涙ポイント&名言も明記しておきましょう。

  • ひろしの回想シーン
  • 家族のいる幸せをあんたたちにもわけてやりたいぐらいだぜ」
  • 階段を走るしんちゃん
  • オラ、大人になりたいから」
  • 「ずるいぞ!」
特にひろしの回想シーンは、もう必見です。懐古主義の根底にある「昔」から始まる物語は、「今」につながります。そのひろしにとっての「今」は、ひろしの「昔」そっくりでもあります。そう、物語は受け継がれていくという鉄板のストーリーです。
親と子の物語の本質をたった数分で表してしまいます。しんちゃん映画の観客の大半は親子です。子供映画だからこそ、親に対して伝えられるメッセージです。

本作が傑作である理由

本作の特徴が、映画の始まりの時点で「20世紀博」にのめり込む大人たちという非日常状態になっているということ。通常の映画ならば、①日常状態が非日常になり、②その非日常をくぐりぬけて日常になる、という流れである。①の日常から非日常状態の部分を描かないで済むということができたことが、映画の時間の割りに密度が凝縮されていると感じる原因でもあるでしょう。

この最初の日常→非日常の部分を描かなくて済んだのは、この「20世紀博にのめり込む大人たち」という懐古主義の考え方自体が誰の心にもあるものだからだったと思います。

これは、作品で敵役が「イエスタディ・ワンスモア」が描かれているにも関わらず、どこか敵の心情もわからないではないと感じることもこれに由来します。つまり真の敵は、自分たちの心にある過去に生きる「懐古主義」であるいうことです。

 

過去に生きるな、未来に生きろ!

しんちゃんを通じて、こんなことを教わる超傑作の一本です。