本書の帯にある言葉。
天才の後を継いだ天才ではない人物がどうやって、天才が到達できなかった目標に達せたのか
ユリウス・カエサルの後継者となったアウグストゥスの統治物語が本書です。大きな戦闘もないものの、そのゆっくりとした、しかし着実に進められる帝政への布石。その持続する意志に驚かされます。
指導者に求められる資質
本書内で指導者の資質について言及している箇所があったのでまとめておきます。これはイタリアの教科書にも出てくるということです。
- 知性
- 説得力
- 肉体上の耐久力
- 自己制御の能力
- 持続する意志
しかしカエサルに勝るとも劣らない点が、持続する意志という部分でした。
長生きすることは親しい人の死に出会う回数が増えることである。
本書ではこう書かれていますが、世継ぎや盟友に先に死なれても「持続する意志」は微動だにしませんでした。
盟友 アグリッパの存在
ちなみにアウグストゥスの血へ執着は強く、途中かなりのページを使って書かれています。
ローマの再開発について
まちづくり的に興味深い記述があったので、備忘を兼ねて記しておきます。
都市計画とは、一人ですべてを計画するよりもいくつかの「核」になる建物を「公」が担当し、その周辺は「民」にまかせたほうが人間的な街づくりになる。
カエサル時代には途中だったローマの再開発をアウグストゥスは受け継ぎ実行していきます。その中で、上記のような記述が出てきます。
これは現代にも通じますね。街の面白さは実は路地にあったりします。それは「公」の力ではどうにもならない、「私」の力が発揮される部分です。この「私」をどう発揮してもらうかの土壌づくりが大事なんだと思います。
まちづくりも平和があってこそ。ちなみにパクス・ロマーナとはローマによる平和という意味。平和によって繁栄を謳歌した時代、次作からはさらに帝政が続きます。