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(読書)日本史の謎は「地形」で解ける/竹村公太郎

某ラジオ番組で推薦されていたので読んだ一冊。

 
日本の歴史を地理的みるという画期的な内容でした。
地理好きの僕としては、非常に面白く読ませていただきました。

徳川家康江戸幕府の凄さ

本書は18の事例を紹介していますが、このうち半数が家康&江戸幕府に関するものでした。
著者曰く、徳川家康が日本史上、もっとも偉大な国土プランナーだったと表しています。
彼は江戸をデザインしただけでなく、日本全体をデザインしていました。
 
徳川家康が江戸へ来た当時は、ただの荒れ果てた沼地が広がっていた光景という表現が本書では度々出てきます。
怒る配下を鎮めて、彼はこの荒れた沼地に未来を見えていたようです。
 
大阪出身の僕としては、正直、家康はあまり好きになれなかったのですが、本書を読むうちにイメージが変わりました。
 
当時の世界で一番大きな街であった大都市、江戸は、利根川の川切り(銚子に向かって流す。治水工事)によって成り立ったこと。
全国から資材を海運によって東京に集めたこと。その海運により日本全体がひとつになり、西欧から植民地主義に対抗できたことにつながったこと。(江戸城無血開城という無血革命)
 
などなど。
それ以外にも忠臣蔵に隠された意図や、吉原がなぜあの場所にできたかなど、興味深いエピソードが多数ありました。
 

都市の繁栄の条件

本書でも都市の繁栄の条件を的確に表しています。それは「安全」「食糧」「エネルギー」「交流」の4つの条件がある場所ということです。
これは、世界的ベストセラー「文明崩壊」でも述べられていることです。
 
近代以前の日本において、エネルギーとは「木」でした。ここに注目すると、奈良から京都へ、京都から江戸への遷都の理由がわかります。
つまり奈良は大和川流域源の「木」を集めた都市であり、京都は淀川流域源の「木」を集めた都市であったこと。淀川流域は琵琶湖につながりそれなりに広かったのですが、さすがに1600年ごろには切りつくしていたのではという推察です。
その状況をみて家康は、未開の江戸に未来を見たというのが著者の自論。関東平野という手付かずの資源があったこと、さらには海路の開拓によって日本中から資材を運ぶ事が可能になったことが江戸幕府がここまで長く続いた原因になったという推察につながります。
 
また「交流」についての考察では、交流軸から外れた「奈良」。一方土地的には魅力が少ない「福岡」がここまで栄えたのは、アジアとの交流軸に乗っていたからという考察など興味深い章もあります。
 
歴史的を地理的な必然から読み解く面白さに触れれる一冊。おすすめです!

 

日本史の謎は「地形」で解ける (PHP文庫)

日本史の謎は「地形」で解ける (PHP文庫)