「武士の家計簿」などの著者による新書。一篇が数ページというエッセイ風な歴史考察が集められています。主な時代としては戦国~江戸時代&明治維新。日本人が好きな時代ですね。
古文書からの考察をもとに教科書では習わない歴史を簡潔につづられています。
面白かった話としては、江戸時代の格差についての考察。
江戸時代、一番格差があったのは武力。しかし「富」の格差はそれほどでもなく、さらに「知」の格差は非常に少なかったということ。学問の分野では、身分を超えて交流があった。
この要因は、ひとつとしては寺子屋の発達。そして寺子屋での読み書きをいかし、「本」が普及したこと。本によって情報の伝達ができるようになり、庶民の知識レベルが上がった。
意図したかどうかわかりませんが、江戸時代の日本は生産性が高い社会だったんですね。
当時、ヨーロッパは宗教施設を中心とした場所に知の集積があった。日本には平民もそこそこの知識をもち合理的判断をできる素養が広まっていました。これって本当に素晴らしいこと。
ただこうしたアドバンテージは非常に狭まってきていることも認識しておく必要があると思います。
「歴史を未来に生かす」それが大事。
日本史の内幕 - 戦国女性の素顔から幕末・近代の謎まで (中公新書)
- 作者: 磯田道史
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2017/10/18
- メディア: 新書
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