非常に冷静な視点で、経済や社会を切っていく橘玲氏の小説になります。
普段はこうしたビジネス小説はあまり読まないのですが、橘玲の小説ということで手にとりました。
遺産相続とサスペンス的な話と税法の矛盾をつくという内容が織り込まれた小説になります。正直この右脳と左脳的な融合は難しく、決してうまく絡みあがった作品とはいえませんでした。
それでも遺産相続やサスペンス的な部分は、思ったよりもしっかりとしていて読み応えはある作品でした。
主人公への依頼は「相続税を1円も払わずに、孫に遺産相続をさせたい」というものでした。この相続税を1円も払わないという部分には、国家を信用しないという断固たる思いが込められています。
この国を信用しないというのは、橘玲氏が度々述べている持論でもあります。その行く先は、どこにも国籍を持たない、つまり「永遠の旅行者」になるということ。
税金をいかに抑えるかというのは、ある一定以上の稼ぎのある人の優先課題になっています。まずはそのステージに行きたいところですが……。