Life is a showtime

やりたい事とか日記とかをつれづれなるままに……

(読書)一〇年代文化論/さわやか

なんと2014年に書かれた一〇年代のカルチャー論。

本書では「残念」というキーワードだけで、若者文化を括ってしまうという大技になっています。

「残念」とは、本来の意味からはなれ、イケメンだけどオタク、美少女だけど内気、というギャップがありつつ、そこがより愛くるしくなるという意味で使われ始めたのが十年代特徴ということ。

そのちょっと人のイメージと違う部分のことを、肯定する意味を込めて「残念」と使われ始めている。思うにこれは人のコンプレックスの部分を含めて、愛すべき時代になっ来ているともいえます。

コンプレックスを個性ととらえる時代。実はゆとり教育による影響なのかもしれません。ちなみに、このコンプレックス肯定論は、これが大人への一歩であるというものであるというのが僕の持論。

欠点もふくめて、それがあなただよと受け入れる姿勢。赤塚不二夫の「それでいいのだ」理論は、時代を超えて今受け入れられているともいえます。

昨今のタモリブームも実はこうした時代の流れ、寛容の流れに乗ったものなのかもしれません。

 

しかし2020年に入り、コロナの自粛警察の様をみていると、時代は寛容の時代から分断の時代になっているような気もします。実は2010年代はリーマンショック以降の経済拡大期だったから、こうした寛容の時代が形成されてのかもしれません。時代の雰囲気も実は経済から出てくるのかも。そんなことを思うお盆の1冊でした。

 

一〇年代文化論 (星海社新書)

一〇年代文化論 (星海社新書)

  • 作者:さやわか
  • 発売日: 2014/04/25
  • メディア: 新書
 

 

(読書)戦略がすべて/瀧本 哲史

著者がなくなったということで手に取ってみました。

本書では、芸能界からはじまり、ビジネス、労働市場、教育などから地方創生まで、「戦略」という形の考え方が書かれています。

 

ヒットの戦略では、AKBが取り上げられ、芸能人が売れた場合に想定される3つの壁が書かれています。

3つの壁とは、

  • どの人材が売れるかわからない
  • 売れた後の稼働率の問題(人のやることなので、限界がある)
  • 売れると、タレント側に契約の主導権が移る

というもの。これを戦略的に回避したのが、AKBに代表される「アイドルまとめ売り」ということである。

 

またビジネスの分野においては、大企業の社員が中小企業の社員に比べて給料が高いのは、従業員1人あたりにかけられる「付加価値」(資本・スケールともいえる)が大きいので、給料も高くなるというわけです。

同じ労働力を投下するのであれば、規模の原理が働くというわけです。

もう一つ、資本主義社会において高い報酬を望むのであれば、「資本=儲ける仕組み」の形成をするしかないということも述べられていました。これはホリエモンなども言っていることですよね。労働力の提供だけでは限界があります。

 

そのほか、イノベーションは少数意見から生まれる。そのために一見無駄に思われる仕事にもリソースを振り分ける必要があること(グーグルの仕事の2割は好きなことをしてもよいもこの考え方からですね)。

会社の評価は、商品市場、資本市場、人材市場で評価され、人の出入りが企業の先行指標になることなど、なるほどと考えさせられることなども見受けられました。

 

特に勉強になったのは、企業の戦略として、「どの土俵なら勝てるのかを見極め、勝てる土俵を選ぶ」ことの重要性についてでした。楽勝でできることを徹底的にすることが、一番効率が良い。

これって人生においても応用できますよね。

 

全体通して、お題が散在していますが、それもまぁ具体例が豊富に出されていると思えば、わかりやすい本になったことだと思います。

 

著者は、「戦略とは、弱者のツール」と述べます。

今までの競争を全く違う視点で評価し、各人の強み・弱みを分析して、他の人とは全く違う努力の仕方やチップの張り方をすること。

僕ら就職氷河期世代は、まさしく「弱者」。こっそり簡単に勝てる場所で勝負する、そんな生き方をするしかありません。

 

 

戦略がすべて (新潮新書)

戦略がすべて (新潮新書)

  • 作者:瀧本 哲史
  • 発売日: 2015/12/16
  • メディア: 新書
 

 

(読書)日本酒の人 仕事と人生/山同敦子

少し前に読んだ「日本酒ドラマチック」と同じ、山同敦子さんの著書。今回は作り手に焦点をあてています。

ピックアップされている銘柄は、

  • 飛露喜(廣木酒造)
  • 天青(熊沢酒造)
  • 白隠正宗(高嶋酒造)
  • 若波(若波酒造)
  • 天の戸(浅舞酒造)

の5蔵。

単なる酒造りの部分だけでなく、酒以前の部分、どうして酒造りをするようになったか、どのように酒蔵を軌道にのせたかなど読み応えがある1冊でした。インタビューがうまいのでしょうね。

共通するのは、農学部の人が多い、一度外へ出たことがあるひとが多いということ。だいたい、40代半ばということもあり脂がのっているころあいです。

 

5蔵の中で一番惹かれたのが、若波のお二人。長女・弟・長女と同じ研修所だった杜氏の3人で蔵を回しているという。特に長女の今村友香さんが言っていた「ピンチはストーリーになる」というフレーズが印象的でした。

こういう人たちのお酒、飲んでみたいですね。

 

 

日本酒の人 仕事と人生

日本酒の人 仕事と人生

  • 作者:山同敦子
  • 発売日: 2018/02/23
  • メディア: 単行本
 

 

lifeisashowtime.hateblo.jp

(読書)会社をつくれば自由になれる 中年起業という提案/竹田茂

 こういった人生指南本は数々読んできているのですが、読む際には自分の年齢より少し上の年齢を対象にした本を読むようにしています。

本書は42歳での中年起業、54歳からの定年起業を対象にした本ということになります。その年代の起業は、持続可能性が高く、死ぬまで楽しく働くことができるのがテーマになります。つまり一発当てて大金持ちを目指すのではないということ。

基本的には体験本とノウハウ本、心得本の間といったスタンスでしょうか。読みやす文章ですが、いくつか参考になった部分もあります。

 

起業にあたってのポイントをメモ代わりに記しておきます。

  • 起業直後の売り上げの源泉は経験知しかない。
  • 独立の際に「手伝ってよ」といわれるかどうかが、成功するかの目安に
  • 起業に”能力”の問題を持ち込まない。ポイントは何人が支援してくれるかが大事。人的資源(経験・人脈・健康)が大事
  • 経営者はプロデューサー感覚。他者を巻き込み、営業もする。
  • 東京からどう仕事を受注するか
  • 資本金よりもいつから売上が立つか。月10~50万円の収入源を複数確保すること。
  • やや高めの料金表をもつ。
  • やりたいことに集中するためにいかに他の手を抜くか

 

本書内で繰り返し述べられているのは会社員時代の人的資源を生かすことの重要性でした。

起業すると感じるのは、会社員時代との違いはストレスの色の違い。どうにもならないストレスから全部自分で決めて責任も取るというストレスになるということでした。

個人的にはこのストレスは、すでに今の仕事でも感じていること。つまりは社内起業状態といってもいいかもしれません。

 

著者は出版社に勤めていたようで、いくつか面白い考察がありました。

上の東京からどう仕事を受注するかという視点や、情報通信インフラ自体が雇用を減らしてきたという指摘がありました。この先地方での起業となると、絶対価値のリアリティを追求するしか方法がないのではという提言しています。

また老後、趣味に生きようと思っている人もいるかと思いますが、著者は趣味と起業の一番の違いは、他人からの承認をお金という形で分かりやすいプロセスでみることができるという指摘もありました。

こうした視点は面白いですね。

 

会社をつくれば自由になれる 中年起業という提案 (しごとのわ)

会社をつくれば自由になれる 中年起業という提案 (しごとのわ)

  • 作者:竹田 茂
  • 発売日: 2018/01/19
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

(映画)はちどり@シネマテーク~世界に飛び出していくその手前の繊細な葛藤

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★★★☆

本当に久しぶりのシネマテークでの映画鑑賞。「はちどり」の評判を聞いて観てきました。

非常に繊細な思春期(中二)の女子の物語。友情・恋愛・暴力・勉強・家庭……さまざまなことが、自分のまわりにとりまき、進んでいくそんな思春期。子どもと大人の間であるこの時期ならでは繊細な感覚。女性監督だからかその繊細さが全編にわたって伝わってきます。

設定は、81年生まれの監督の時代を追体験するような形になっています。ただこの思春期の主人公の感情はいつの時代も同じなんだろうなぁと思います。

 

CASTの中での魅力は、まずは主人公ウニを演じたパク・ジフのかわいいこと。ボブヘア。可愛すぎです。影がある感じも素晴らしい。

そして、なによりウニのメンターとなる、漢文教室のバイトの先生を演じるキム・セビョク。こんな先生いたら、もう惚れてしまいます。同性だからわかるのであろう、14歳の女子に対しての静かなる導き。

 

『自分が知ってる人達の中で、本心が分かる人は何人いる?』という質問では、ウニに「世界は、自分と他者でできていて、多くの他者はわからない。だから理不尽だし、そして面白い」ということを悟します。

 

そして最後の手紙。

 

「世界は不思議で美しい。
今度会ったら全部話してあげる。」

 

世界に飛び出していく瞬間の14歳。

そんなときにこうやってかごの扉を開けてくれる人がいたら…、それは素晴らしいこと。

 

animoproduce.co.jp

(読書)もし僕らのことばがウィスキーであったなら/村上春樹

ウィスキーのことはよくわかりません。

ただ村上春樹氏の紀行文は面白い。遠い太鼓 とか最高です。

本作は、ウィスキーの故郷、アイラ島アイルランド醸造所を訪ねた紀行文になっています。著者自身がバーをやっていたこともあって、ウィスキーに対しての愛着を感じます。

さっくり読めますし、なによりも村上春樹独特の文体が、読者をほろ酔いにさせてくれます。

 

そんな本。

 

 

(映画)コンフィデンスマンJP プリンセス編@109シネマズ名古屋~映画館の日々 2本目

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★★☆

昨日の「透明人間」につづいて、映画館の日々です。本日チョイスしたのは、「コンフィデンスマンJP プリンセス編」になります。

前作のヒットを受けての続編です。

 

lifeisashowtime.hateblo.jp

 

今回はアジアの大富豪の遺産を巡っての詐欺がテーマ。

正直、まぁこんなもんだよなという感じでしょうか。作風から、いくつかへぇという脚本になっているはずなのですが、イマイチ驚けず。

見どころは、柴田恭兵とプリンセスを演じた関水渚でしょうか。特に関水渚が徐々に変わっていく様子はなかなか惹きつけるものがありました。

 

そして、「人の痛みがわかる人間になろう」。そんなことをちょっとだけ思う映画でした。

 

confidenceman-movie.com