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やりたい事とか日記とかをつれづれなるままに……

(映画)ミナリ@伏見ミリオン座~すべてのおばあちゃんに捧ぐ

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★★★☆

 

派手な大作がない中で今年の有力作品として「ノマドランド」とともに挙げられている「ミナリ」を鑑賞してきました

一昨年ぐらいから分断のアメリカを描いた作品がアカデミー賞ノミネートをされてるようになってきました。

 

夢を語る、一発逆転を狙う男、現実を見る女、そしてその家族と妻の母。

アメリカに移住し点々としてきた韓国人家族がトレーラーハウスに引っ越し、農場を作ろうとするお話し。

 

そこにはやはり労働者階級に悲哀が漂う。

 

しかし本作の魅力は、その悲哀よりも、なんといっても祖母であったと思う。韓国から呼ばれた祖母。孫に対してもやさしくはなく、花札をやり、マナーもない……。

観ていて自分の母を思い浮かべてしまいました……。どことなく田舎っぽい、イジワル婆さんのよう。

画面から漂うその嫌悪感からスタートするお婆ちゃんですが、徐々に孫たちを介して溶け込んでいき、その嫌悪感が消えて行く演技演出はなかなかのものでした。

 

「雑草のように、それでも生きる」、そんなメッセージが伝わる味わい深い映画でした。

(読書)せちやん 星を聴く人/川端 裕人

時々読んでいる、川端裕人さんの小説。そこに出てくる人はピュア。そして悪意がない世界というのが特徴。

世は悪意で満ちているので、小説の中ぐらいこういう世界があっても良いのではと思ったときに読むのにはピッタリです。

 

本書は、そんな著者のお得意の宇宙に関する小説。少年たちが夢見た宇宙人探し。それを思春期から壮年にかけて、主人公とともに追体験します。

時代に翻弄されるというとドロドロした雰囲気を思い浮かべるが、それでもどこかしら爽やかさを感じるのは、この著者ならではあると思う。

 

ちなみに本書では、お金や宗教など宇宙に関わると出てくる怪しい部分の登場人物も出てくる。ただそれもなんとなくサバサバしている。

 

子どものころ尊敬に値する師も、大人となってみれば腑がない中年に見えるということも多分にある。ただ、どこか自分としては信じたくないと思っている。

そんな大人になるということを追体験できる物語でした。

 

せちやん 星を聴く人 (講談社文庫)

せちやん 星を聴く人 (講談社文庫)

  • 作者:川端 裕人
  • 発売日: 2006/10/14
  • メディア: 文庫
 

 

(読書)50代からの選択 ビジネスマンは人生の後半にどう備えるべきか/大前研一

こういう年代別に切った本は、自分がその年齢に達する5~10歳ほど若い時に読むようにしています。古くは、「25歳のリアル」「30歳のリアル」シリーズとかもそうでした。

こうした先取りであと数年でその年齢になった時の身の振り方を考えておくことは、先を見越すということで損はありません。

 

さて、本書は、10年以上前に書かれた本ですが、今でも通用する部分は多分にあります。

仕事の旬は30代ということ。これは宮崎駿も「風立ちぬ」の中で「人生において創造的な期間は10年ぐらい」という言葉でも述べられています。つまり社会人になったあと10年で吸い込んだものをアウトプットしていくのみだと。30代はそのアウトプットが一番花開く時期でもあります。

さて50代からの生き方ですが、著者はファイティングポーズをさっさとやめなさいということを繰り返し述べています。

40代までで成してこなかった人が50代になって何かを成せる訳がないと。

定年まで10年ということで、趣味を持て、会社の中とは違う自分を持ちなさいというアドバイスをしています。

趣味を含めてやりたいことを10個確保しなさい。趣味は、アウトドア系・インドア系を2~3個づつ。他の人にためになる(地域貢献や顧問や大学教員など)ことが含まれているとなお良いと。

人とは他の人と関わって生きる生物だとすると、会社人脈が切れる定年以後は、他のコミュニティに所属することは大切です。

 

 

(読書)逃げる中高年、欲望のない若者たち/村上龍 ~タイトルがあまりにも秀逸で購入

40代になり、つくづく思う。ちょっと上の世代は逃げ切りだなぁと。

そんなことを思っていたところたまたま見つけた本書。タイトルが秀逸で思わず読んでしまいました。

 

生きるとは、とても必死で、あがき、欲深きものだった時代。その時代の申し子だった著者のエッセイ集。

そんな著者の若者論。若い子って欲がないというのはよく言われるが、それを堂々というのもなぁと僕も感じてしまう。ただバブル世代に対して冷静なスタンスも持っているので、若者たちの思想も少しはわかる。

 

ただ本当に、現在の若い子(うちの会社の新入社員~30歳ぐらいにかけてを見ているだけですが)って「あなたは何をしたのか、何をしたいのか」すら認識していない。その欠如は本当にひどい。

 

ただ著者は、若者に発破をかけるわけではない。生きづらいよね。この国に夢持てないよね。せめて自殺せずに生き延びてねというのみ。

 

この国は、ゆっくり衰退していく。著者は繰り返し、それを述べています。

ちなみにこの本は7年ほど前の本。

本書では、「政治とは、外交を除けば、所得の再分配にある」と定義づけられていました。

小泉・竹中は、所得の再分配で企業にお金を誘導する施策を実施し、民主党は庶民に再分配をしようとしたが、結局ない袖はふれないということで、嘘つき政権呼ばわりをされて自滅。

本書がかかれたのは民主党政権のころの話でしたので、ここで論評は終わっています。ただこれは現在も続いています。アベノミクスとは日銀にお札を刷らせ続けた政策で、株高を演出し景気が良いように見せかけたわけで、その間に年金改革など打てる手は打たなかった。

 

この国は、ゆっくり衰退していく。

今でもそれは変わらないし、より深刻に、コロナ禍で少しスピードを上げて衰退しつつある。

うちらの世代は、おそらくギリギリ逃げ切れないんだなぁ……。

 

もはや発破をかけない、夢を見ることを声高に唱えない著者は、おそらく「うまく生き逃れなさい」というメッセージを送っているのだと思う。

逃げる中高年、欲望のない若者たち (幻冬舎文庫)

逃げる中高年、欲望のない若者たち (幻冬舎文庫)

  • 作者:村上 龍
  • 発売日: 2014/08/05
  • メディア: 文庫
 

 

(読書)終末のフール/伊坂幸太郎

小説を読んでみたくて、手に取りました。

 

八年後に小惑星が衝突し、地球は滅亡する。その後5年がたち、世の中は一通りの動乱の後の平穏な小康状態となっていた。そんな時期の仙台の団地が舞台。こんな破天荒な設定だけれども、それは今の延長線上にある。

 

短編集で、それぞれが微妙に絡み合っている。終わりが見えた時、人はどう生きるのか。

人にはそれぞれ考え方があって、みんな人生を歩んでいる。生きるために必死にあがくものもいれば、なすがままの人もいる。

人にはそれぞれ人生がある、パラレルワールドのように。

 

そんなことが感じられた短編集でした。

 

終末のフール (集英社文庫)

終末のフール (集英社文庫)

 

 

(グルメ)らーめん奏@名古屋・吹上

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名古屋の環状線沿いにあるラーメン店。雰囲気は町のひなびたラーメン屋なのに、いつも行列ができていて、美味しいのかなぁと気になっていたお店です。

 

調べてみると、ミシュランの星獲得店舗、ラーメン100名店など受賞店舗なのですね。小さな店内、10人も入らない店舗です。

 

自販機で食券を購入。チョイスしたのは塩ラーメン。

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こちらがでてきた塩ラーメン。

スープは煮干しと鶏ガラを混ぜ合わせたものということです。どおりで絶妙な脂っこさと煮干しの風味が出ているのですね。麺は細麺。

お味は、塩ラーメンを少し脂っこくした感じで、満足感とさっぱり感が味わえ美味しかったです。

妻は醤油ラーメンをセレクトしていましたが、こちらは太麺。ラーメンによって麺の太さをかえているのですね。

 

tabelog.com

(読書)予想どおりに不都合 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」 /ダン アリエリー

行動経済学ブームに火をつけたベストセラーということで、ちょっと前の本ですが読んでみました。

「脳は合理的ではない」という事象が実験例とともに描かれています。ただ翻訳本ですので読みにくい…。正直要約版があればそれでいいと思います。ということで15章にわかれていますが、箇条書きに13個にまとめておきます。

  • 相対性゙‥必要のないものも相対的に得だと買ってしまう
  • アンカリング
  • 無料の力‥例:一定以上送料無料だとついついその金額まで買ってしまう
  • 社会規範のコスト‥楽しみでやっていたことが報酬をもらったとたん楽しくなくなる
  • 性的興奮の影響
  • 先延ばし問題‥適度の締め切りを設定するのが、最適
  • 所有意識‥自分の持っているものを過大評価する
  • 人は選択肢を残したがる
  • 予測がおよぼす(思い込み)の影響は大きい
  • 価格が高いものをを信用しやすい(プラセボ効果
  • 不信の輪‥人は裏切られるのが嫌い。結果トータルでは社会的には損になる。
  • 人はごまかす‥特に「お金」が見えない形だとよりごまかす。例として現金は盗まないが鉛筆は失敬する。
  • 他人と差をつけたがる‥例:ランチでの注文で差をつけてしまう

このようなことが実験結果とともに書かれています。ひとつひとつは面白いのでぜひ読みやすい解説本が欲しいです。

このような行動経済学の心理をついて世の中には様々な罠が仕掛けられています。Amazonの送料無料やスターバックスの値付け、クレジットカードの後払いシステムなど‥‥。

勝間和代さんの著書にもあったとおり、ビジネスにおいて単価を上げるということは大事であるともこれを読んでいて再認識しました。

 

人間は不合理である。

 

それをわかった上でビジネスをする、行動をただす、あるいはその不合理に乗ってみるということが大事なんだと思います。