★★★☆
自分の思春期を思い出させてくれるストーリー
宮崎駿監督推薦の児童文学である原作をどう描くか。おそらく映画では表現しきれなかった部分がいっぱいあるんだろうなと感じます。
全体的に少女趣味で、主人公二人のキスシーンでもはじまのではないかと観ていて不安になってきます。あと前半から中盤にかけてながく、中盤以降の謎解き(「マーニー」とは何者か)があっという間のバタバタとネタバラシさせられる展開はちょっと…と思ってしました。
ただ、原作が良いのか、お話自体は非常に考えさせられるものです。
自分の中に閉じこもりがちの主人公「麻呂」が謎の少女「マーニー」と関わることでそのバリアが溶けていくというストーリー。
思春期には、『自分とは一体何者か』『自分には価値があるのか』といった自分への問いかけがあったと思います。実際、僕自身もそういう時期があったことを映画を観て思い出されました。
ネタバレを避けた中で、感想を言うと、その思春期を脱するひとつの過程が「赦し」というものに気づかされました。
自分というものへの赦し、親への赦し、自分を取り巻く人達への赦し…。
そういえば、思春期を別の言葉でいうと反抗期といいます。反抗ではなく、赦し。
「赦し」という行為は、思春期を抜け出すための1歩だったんだということを自分のことを思い出しながら考えさせられます。
そんな遠く、忘れていたことを思い出させる映画です。ですが、ちょっと年をとった僕には恥ずかしいものでした。
おじさんよりも思春期を脱したばかりの人はどう思うのでしょうか。そんな人たちに観て欲しい一本でした。