宮崎発の地方新聞の物語。著者はこの新聞社の社長です。この女性社長の回顧録になります。
この女性の人柄がにじみ出る回顧録でした。
明るく、好奇心旺盛、そして楽観的。
前書き編集長であり、夫である水谷もりひと氏からの言葉を借りると、彼女は営業で飛び込むことに物怖じしなかった。それは97%断られても3%の人との素晴らしい出会いがあったから。そして「宮崎中央新聞」という商品に対して絶対的な自信を持っていた。と書かれています。
もともと夫である編集長が書く社説が好きだった、と本文に書かれてますが、なんと素敵な話でしょうか。
みやざき中央新聞のスタンス
夫婦のママゴトのような新聞社でしたが、そこからの編集方針の転換についてまとめておくと、
- 自分が感動した話を伝える
- 講演会を取材する
- 読者に会う
の3つに集約されるようです。
1つ目の感動した話というものは、みやざき中央新聞の顔でもあるコラムで確立されています。
2つ目の講演会の取材というものは、考えてみると何かしら特技や個性があるので講演会ができるわけで、それはネタの宝庫に違いありません。
3つ目の読者に会うというものは、1つ目の感動コラムなどによって新聞の魅力が高まっている状態であれば有効です。
こうしてみると新聞という媒体というよりも、アイドル的な存在であることがわかります。地方の小さな新聞というのは、メディアというよりも、とんがった個性によってゲリラ戦を仕掛けてファンを獲得するということの方が有効かもしれません。
みやざき中央新聞は、宮崎を飛び出して全国にファンを獲得しています。これは商圏を全国に広げているとも言えます。(もちろん当初は商圏を全国に広げようなんて思っていなかったと思いますが…)
良い仕事をするには
私の妻が言っていたのですが、良い仕事をするには、
- 家庭円満
- お金の余裕か未来の希望
の2つの条件がいると。
本書を読んでいると、この2つの条件に当てはまることが綴られています。
家庭については、まず仕事として編集長である夫の才能に惚れていることがわかります。また夫がかなり協力的で、留学を許してくれたりや子育てを手伝ってくれたりということも書かれています。
一方、夫側も前書きにあるように、妻の営業力などを評価していることが書かれています。このようにお互いに尊敬し合う夫婦仲というものは夫婦円満の秘訣であると思います。
もう一つの「お金の余裕、もしくは未来の希望」ということについては、おそらくこの夫婦は、楽観的な性格もあって、未来の希望があったのでしょう。
プライベートを気にしなくていい、前に目標があるということは、物事を進める一歩が踏み出しやすいです。
がむしゃらに前に進めるのは若いうちだけ。年を取ってからも前に進めるためには、それ以外を固めることが大事ということを感じた本でした。
読み物としてもとても面白く、心が洗われました。おすすめの1冊です。