名古屋三越の催事場で開催されていた葛飾北斎の展覧会の最終日に行ってきました。
世界に影響を与えた浮世絵師、葛飾北斎の代表作をコンパクトにみることができます。
まず「東海道五十三次」から。
数年前に京都から東京まで旧東海道、何回かにわけて自転車で行く輪行旅行をしていて(東はまだ三島~日本橋が残っています)非常に興味がそそられる東海道五十三次。
良く知っている宿場町ごとに絵が並びます。江戸時代としては、旅行写真集といったものなのでしょう。こりゃ大ヒットするのもわかりますね。
続いて「富嶽三十六景」。有名な赤富士や神奈川沖浪裏など有名作品をじっくりみることができます。神奈川沖浪裏に代表されるように、水の描き方ってすごいと改めて関心してみてしまいました。
両者に共通するのは、旅なり富士の風景というよりもそこに人々の日常が多く含まれている描写があること。「東海道五十三次」では、当時の旅人の様子や宿場町の人のぬくもりが伝わります。
「富嶽三十六景」の方も、社会を見守る富士と日々の生活というストーリーが面白い作品が多いです。日本人にとって特別なアイコンであり、信仰の対象ともなっている富士山。それが生活の片隅にある。いいですねぇ。
これを観て思い出したのが、リリーフランキーの「東京タワー―オカンとボクと、時々、オトン 」でした。
それはまるで、独楽の芯のようにきっちりと、ど真ん中に突き刺さっている。
東京の中心に。日本の中心に。ボクらの憧れの中心に。
富士山。それは現代の東京タワーのような象徴的な中心だったのでしょうか。もちろん東京タワーよりもスケールが大きく、突き刺さっていたのでしょう。
と思っていたら当時の海外の人も同じように考えていたようです。展覧会の最後にフランス人画家 リヴィエールの「エッフェル塔三十六景」という作品が飾られています。パリの人にとってやはり象徴はエッフェル塔だったのでしょうね。