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(読書)騎士団長殺し/村上春樹~画家という媒体を通して、”伝える”ことについて、考えること

自宅待機の日々なので時間ができ、読書の時間が増えました。今回は、お気楽に小説を読みたいなぁと思い、ずっと読もうと思っていた村上春樹の最新長編『騎士団殺し』を読んでみました。

 

数々の村上春樹作品を読んでいますが、本書は読みやすい!その理由は、主人公が「私」の1人称で進むから。そして村上春樹お得意ワールドのエッセンスが詰まったあらすじでしたので、良くも悪くも予想をしながら読むことができました。

それでも決してつまらないわけではなく、文庫本4冊を5日ほどであっという間に読破できました。

 

主人公「私」は肖像画を描く画家。絵を描くということを、”何か”を画家という媒体を通して描かれるということを感じました。それは村上春樹作品によくある、自分という自己が薄い主人公であるから成り立つのかなぁと思って読んでいました。

当初は画家という媒体を通して”何か”を描くということ発想を楽しんでいましたが、エンディング近くになるにつれ、実は”画家”ということに限らず、”人間”というもの自体、実は意味なんてなく、”何か”を伝えていくということなんだということを感じる作品になっています。

 

著者は、”伝える”ことの大事さを表現したかったのかもしれません。

あと主人公のような自己をあまり出さない主人公をカッコいいと思ってしまうのは、青春時代に著者からの影響が大きい僕だからなのでしょうか。

 

 

騎士団長殺し(新潮文庫) 全4冊セット