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(読書)松竹と東宝 興行をビジネスにした男たち/中川 右介

松竹兄弟と東宝、宝塚を含む阪急グループの創業者の小林一三の物語。

京都の劇場の売り子からスタートし、歌舞伎を舞台にまずは京都の劇場を買い占め、大阪に進出、そして東京進出を果たした松竹。歌舞伎座を手に入れたことで、歌舞伎界の頂点を手に入れた。そこから歌舞伎を広げるという活動をした松竹兄弟。そして舞台は歌劇、映画へと分野を広げていきます。

 

一方、慶応義塾大学卒で銀行出身の小林一三阪急電鉄を作るということで鉄道畑から興行の世界にも伸ばしたのが小林。興行界では宝塚を作ったことからスタートします。歌劇において第一人者である小林は、その財力もあり日比谷を拠点に東京進出を果たします。

 

松竹対東宝の戦いは、歌舞伎だけではなく、歌劇、映画、野球などに及びます。おそらくビジネス的なセンスはやはり東宝の方がうまかったと言わざる負えません。実際、野球、歌劇においては、最終的には東宝に軍配があがることになります。(映画はともに残っていますが、現在は東宝一人勝ち、野球はともに売却してしまっています)

 

大阪出身で京都の大学に行っていた僕としては、本当に面白い1冊でした。新京極のあたりの劇場の跡地には、映画館がいくつか建っていたので土地勘もわかります。もちろん道頓堀もイメージができます。

そして阪急でなじみがある小林一三。キタを作った人です。なんといっても箕面電気鉄道を作ったときに何もない土地をみて宅地開発を思いつく、天才的発想を思いつくわけです。個人的に一番尊敬するビジネスマンです。

小林が財界とは別で、愛情を注いでやっていたのが宝塚から始まる興行になります。これが東宝グループにつながります。本書でも書かれている通り、小林は、文芸や芝居が好きだったことが書かれています。東宝は、ひとりの好きな人が愛情をもって起こした会社でもあります。

愛情という意味では松竹も同じですね。

 

歌舞伎の世界は詳しくありませんでしたが、それを除いても、興行の世界の食うか食われるか、そして栄枯盛衰がわかります。

ちなみに本書の最後に歌舞伎の衰退が書かれるとともに、テレビの登場で映画界は大打撃を受けましたと書かれています(最近は盛り返していますが)。そんなテレビもインターネットの登場で衰退期に入ってますけど…。