こういった人生指南本は数々読んできているのですが、読む際には自分の年齢より少し上の年齢を対象にした本を読むようにしています。
本書は42歳での中年起業、54歳からの定年起業を対象にした本ということになります。その年代の起業は、持続可能性が高く、死ぬまで楽しく働くことができるのがテーマになります。つまり一発当てて大金持ちを目指すのではないということ。
基本的には体験本とノウハウ本、心得本の間といったスタンスでしょうか。読みやす文章ですが、いくつか参考になった部分もあります。
起業にあたってのポイントをメモ代わりに記しておきます。
- 起業直後の売り上げの源泉は経験知しかない。
- 独立の際に「手伝ってよ」といわれるかどうかが、成功するかの目安に
- 起業に”能力”の問題を持ち込まない。ポイントは何人が支援してくれるかが大事。人的資源(経験・人脈・健康)が大事
- 経営者はプロデューサー感覚。他者を巻き込み、営業もする。
- 東京からどう仕事を受注するか
- 資本金よりもいつから売上が立つか。月10~50万円の収入源を複数確保すること。
- やや高めの料金表をもつ。
- やりたいことに集中するためにいかに他の手を抜くか
本書内で繰り返し述べられているのは会社員時代の人的資源を生かすことの重要性でした。
起業すると感じるのは、会社員時代との違いはストレスの色の違い。どうにもならないストレスから全部自分で決めて責任も取るというストレスになるということでした。
個人的にはこのストレスは、すでに今の仕事でも感じていること。つまりは社内起業状態といってもいいかもしれません。
著者は出版社に勤めていたようで、いくつか面白い考察がありました。
上の東京からどう仕事を受注するかという視点や、情報通信インフラ自体が雇用を減らしてきたという指摘がありました。この先地方での起業となると、絶対価値のリアリティを追求するしか方法がないのではという提言しています。
また老後、趣味に生きようと思っている人もいるかと思いますが、著者は趣味と起業の一番の違いは、他人からの承認をお金という形で分かりやすいプロセスでみることができるという指摘もありました。
こうした視点は面白いですね。