Life is a showtime

やりたい事とか日記とかをつれづれなるままに……

エンタメ批評を書くためのツールを教えてくれる『批評の教室~チョウのように読み、ハチのように書く』

本ブログでも、本や映画などの感想をつらつらと書いています。本であれば多少のメモを元に書くこともあるのですが、映画においては本当に思いつくままに書いていました。

綺麗な批評ブログでは、なかなかまとまっていて、映画を観たくなる、本を読みたくなったりします。自分もそんな文章が書けたらと思い、某ラジオ番組で紹介されていたこともあり、手に取ってみました。

 

著者はシェイクスピアの研究家でウィキペディアンという北村紗衣さん。

学者らしく、批評を3つの構造に分解をしています。

まずは、精読する。その上で分析をする。そして書く(さらにコミュニティに参加する)。という工程を踏みましょう。

 

「精読する」工程では、大前提として作品内の事実を曲げない(わからない言葉はきちんと辞書を引く)。複数回登場するもの、時間をかけて描写されているものには意味がある。

また日常的的な行動(例:トイレ)は通常描かれないので、それが描かれるということは伏線だったり、キッカケになる、といったテクニック的なことが書かれていました。

そのほか、自分の邪な性欲があることによりバイアスがかかったり、注意散漫になったりする注意(これ自体は否定するわけでもない)、作者の意図は組まなくてもよく、それよりも作品が何を表現しているのかに注意すべきと述べられていました。

 

「分析する」工程では、いくつかのツールが書かれていました。他人の力を借りてみること(他人の批評や作品情報は入れてから読む・観る)。

タイムラインや人物相関図を起こしてみる。作家の過去作品に共通するモチーフ表をつくってみる、作品同士の友達を見つけてみる(例:MCUスターウォーズ)などの方法が紹介されていました。

 

「書く」工程では、切り口をひとつにする重要性が説かれています。具体的には、タイトルで縛ってみるといい。また自由に書いてはいけない。「感動した」「面白かった」「考えられる」などの言葉は使わない。そして批評においては、他人に好かれたいという気持ちを捨てるということ。

 

こうした批評を発表し、コミュニティで討議していけば作品に関する理解がより深まる。

 

批評というものは、ひとつの作品を楽しむツールであると感じます。著者はこれはゲームとも評しています。こうした作品の楽しみ方があるということがわかる本でした。

 

あと著者が配偶者のことを「連れ合い」と書いているのが僕のひとつのツボでした。みんなが読みたくなる批評を書きたいです。