2019年に出版され結構売れたビジネス書ということです。
最近、経営者が変わり考え方が変化しつつある中、これからの時代の身の振り方を考えることができた一冊になります。
まず著者は、世の中のトレンドを下記のようにとらえています。
[メガトレンド1] 飽和するモノと枯渇する意味
[メガトレンド2] 問題の希少化と正解のコモディティ化
[メガトレンド3] クソ仕事の蔓延
[メガトレンド4] 社会のVUCA化
[メガトレンド5] スケールメリットの消失
[メガトレンド6] 寿命の伸長と事業の短命化
これらは物質的豊さとテクノロジーの進歩で、『モノが過剰になり、正解がコモディ化する』。結果、「問題解決、モノを作りだす」能力に重きがおかれていたことから「問題を自ら発見し、意味を創る」能力が重宝されるようになるということに基づいています。
ここでいう「問題を自ら発見」とは課題は自分で設定する(上からの押し付けではない)ということ。また「意味を創る」とは、「役に立つ」から「意味がある」ことが大事ということになっていくということが述べられています。
オールドタイプが得手としていた、「経験」「予測」「最適化」が無価値化していく世の中が来るとしています(というよりもそういう人間が次の社会を作っていく)。
この根本的な考え方のもと、具体的には下記のような人材が求められるようになるだろうということです。
■価値創造――問題解決から課題設定へ
1 問題を解くより「発見」して提案する
2 革新的な解決策より優れた「課題」
3 未来は予測せずに「構想」する■競争戦略――「役に立つ」から「意味がある」へ
4 能力は「意味」によって大きく変わる
5「作りたいもの」が貫通力を持つ
6 市場で「意味のポジション」をとる
7 共感できる「WHAT」と「WHY」を語る■思考法――論理偏重から論理+直感の最適ミックスへ
8「直感」が意思決定の質を上げる
9「偶然性」を戦略的に取り入れる
10 ルールより自分の倫理観に従う
11 複数のモノサシを同時にバランスさせる■ワークスタイル――ローモビリティからハイモビリティへ
12 複数の組織と横断的に関わる
13 自分の価値が高まるレイヤーで努力する
14 内発的動機とフィットする「場」に身を置く
15 専門家と門外漢の意見を区別せずフラットに扱う■キャリア戦略――予定調和から偶有性へ
16 大量に試して、うまくいったものを残す
17 人生の豊かさは「逃げる」ことの巧拙に左右される
18 シェアしギブする人は最終的な利得が大きくなる■学習力――ストック型学習からフロー型学習へ
19 常識を相対化して良質な「問い」を生む
20「他者」を自分を変えるきっかけにする
21 苦労して身につけたパターン認識を書き換える■組織マネジメント――権力型マネジメントから対話型マネジメントへ
22「モビリティ」を高めて劣化した組織を淘汰する
23 権威ではなく「問題意識」で行動する
24 システムに耽落せず脚本をしたたかに書き換える
非常にわかりやすい視点で書かれています。
実際40歳にもなった自分としては、動きづらい部分もあります。ただ、こういう人が輝く社会にしていかなければならないという視点を持つことは大事だと思います。
すべてを自分でやるわけにもいかないことに気づいたこの年頃、組織論の人材開発論としても面白く読ませていただきました。