コロナ禍で分かったことの一つに、感染症は人類の移動によって広がるということ。
本書はその移動について焦点をあてて書かれた新書になります。
黒死病やスペイン風邪がどのように広がったかという見地もありますが、主には人類の移動の歴史についてまとめられています。
それは人類の出アフリカ記からはじまり、商人たちが開拓した交易路の歴史をたどるものでした。交易路というとシルクロードのイメージですが、海の回廊も発達していたというくだりは面白かったです。
また疫学という観点から江戸時代の鎖国状態でも日本に感染症が持ち込まれていることを考えると密貿易があったというあたりも興味深かったです。
まるで「サピエンス全史」のダイジェストを読んでいるかのようです。
さて新型コロナウイルス感染症対策として、著者の考えも書かれていました。
すでに技術的に人と会わなくてもビジネスがなりたつ技術が浸透したことにより、一度交流促進について立ち止まる時期に来ているのではという意見がかかれています。
さぁ果たしてどうでしょうか。
結果、消極的に家にいるような状況が多くなってきていますが、「百聞は一見にしかず」という言葉もあります。
若いうちは実際に肌で感じる体験をしてもらう方が、刺激にはなると思うのですが……。