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(映画)悪は存在しない@ナゴヤキネマ・ノイ~独特の緊張感とバランスを感じる映画

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★★★☆

 

もともとシネマテークだった場所にクラウドファンディングで誕生した劇場「ナゴヤキネマ・ノイ」。名演小劇場もなくなった今、ミニシアターとしては、シネマスコーレのみだった(ミリオン座はもう少し大きいの資本系ということで除外)ので、新しい開館は応援したいです、

 

さて、そんなナゴヤキネマ・ノイで濱口竜介監督作品の新作がかかっているということで観てきました。なんと日曜日ということもあり満席!パイプ椅子での観覧となりました。

 

東京の芸能事務所がコロナ補助金を使って、グランピング施設を作ろうとしている。地元住民との対話。一見、善と悪の対立のように描かれています。しかしよく見ると地元側も例えばタバコのスパスパだったり、家畜のたい肥によるメタンガスの発生など、全くの自然派かというとそうでもない。またラストもです。

いみじくも住民説明会での発言にもあった、要はバランスということ。

ちなみに悪側の芸能事務所の東京シーンとか笑えてしまうぐらい悪をデフォルメして描かれています。絵画の前での社長とか笑えます。

その悪側からの使いとして現地とやりとりする高橋と黛。この車内でのやりとりも笑えます。「この業界って、ほんとクズばっかですね。好きですけど」という黛のセリフのブラックユーモアっぷりが素敵です。

あとうどん屋のシーンも笑えます。高橋の薄さが……。

 

技術的な点でいうと、車の視点だったり長回し、そして音楽。

独特の緊張感というか、ざわっとした気持ち悪さを持つ作品でした。『ドライブマイカー』や『偶然と想像』でも感じる監督の作風ですね。

 

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