ある雪の降る夜に芝居小屋のすぐそばで、美しい若衆・菊之助による仇討ちがみごとに成し遂げられた。父親を殺めた下男を斬り、その血まみれの首を高くかかげた快挙はたくさんの人々から賞賛された。二年の後、菊之助の縁者だというひとりの侍が仇討ちの顚末を知りたいと、芝居小屋を訪れるが――。
直木賞受賞作ということで読んでみました。芝居小屋の前で起こった”立派な仇討ち”の真相をそれを見ていた人たちの目線から追っていく。まるで「桐島、部活辞めるってよ」のようにこのまま「桐島」が出てこないのでは思いながら読んでいました。
しかし、あぁなるほどという仕掛け、そして人間味があふれる、それは芝居小屋全体にも漂う結末。
江戸時代ならではの雰囲気を漂わせつつ、いやぁ天晴というオチ。
まるで芝居のような1冊でした。