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(映画)オッペンハイマー@伏見ミリオン座~ノーランによる文学的法廷劇

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★★★☆

 

アカデミー賞総なめの注目作品。いやぁ情報量が多すぎて一回で処理できません。原爆の父の栄光と苦悩を描くという前情報で観に行きました。それを普通に時系列でやるのではなく、法廷劇として時間軸を組み替えながら描いていくあたりは、さすがノーランです。

 

原爆の父は、水爆の開発には反対する。それがカラーとモノクロで描かれる。カラーのシーンはオッペンハイマーの栄光、モノクロがその苦悩となる。

物理学者としてはもちろん、言語の達人、文学や美術にも理解があり、組織リーダーであり、政治もやるというオッペンハイマー。そりゃ映画にしたくなるわ。

 

法廷劇にも関わらず、ほぼ全編音が鳴り続けるという作品。秀逸だったのはまずは原爆実験のシーン。暗闇の中での実験をどう演出するのかは、本作の一番の肝であり、科学者的な見事な高揚感として描きます。

個人的にもうひとつ、秀逸だったのは、原爆投下を受けての研究村での演説シーン。演説の中でのその残虐性で苦しむオッペンハイマーの苦悩を、絵は揺れ、音で表すシーン。本当にスクリーンの奥から、スクリーンを揺らしているからのような演出が圧巻でした。

 

原爆被害国である日本。そこの是非というよりも、オッペンハイマーの伝記として興味深い1作でした。

 

www.oppenheimermovie.jp