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(映画)ジャワーン@109シネマズ名古屋~今年の痛快インド映画!

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★★★☆

 

昨年は『RRR』旋風がおきたインド映画。今年はこの映画でしょう。2023年のインド興行収入No.1という触れ込みになっています。

一瞬、韓国映画のようなビジュアル。難点は、タイトルも含めてインド映画っぽくないことではないでしょうか。

そう、結構スタイリッシュになっているのです。

ただ、要所要所に音楽やダンスも入れられていますが、基本的には痛快サスペンス映画となっています。

スローを多用したアクションなど170分もあるので、もうお腹いっぱいの娯楽大作となっています。

 

古き良きハリウッド大作とも通じる、何も考えずでも観れる、これぞ娯楽大作というところです。

 

jawan-movie.com

 

(映画)正体@109シネマズ~骨太、逃亡サスペンス映画!藤井道人監督作品。

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★★★★

 

凶悪犯罪者の逃亡劇ということで、鑑賞してきました。

横浜流星、大丈夫か?という疑いの元、観ましたが、これが面白い!本格サスペンス映画ではないですか。横浜流星がこんなにしっかりした役者だったとは……。

そのほか、山田孝之も悩める刑事ということで、良い演技でした。あと吉岡里帆の幸薄っぷりも。

 

このあたりは、藤井道人監督の手腕なのでしょうか。おそらく個人的今期ベスト映画である『青春18×2 君へと続く道』も藤井監督。この監督のとる映画のジャンルの幅の広さが凄い。(僕が観た中では『ヤクザと家族』も藤井監督作品)

 

一度、全部の映画を観てみようかなぁと思う監督になりつつあります。今のところハズレなし!

 

movies.shochiku.co.jp

 

(読書)ギリシア人の物語Ⅲ 新しき力/塩野七生

ギリシア人の物語の最終章になります。今回は、のちに大王と呼ばれることになるアレクサンダーについてがメインになります。

アテネの崩壊のあとに覇権をとったのがスパルタ、しかしもともと覇権国というよりも孤立主義であるスパルタは、中規模の都市国家であるテーベに敗れる。しかしテーベも所詮は、覇権国に収まる器ではなく、ギリシアからまとめる人が誰もいなくなったという状態になります。

そこに現れたのがアレクサンドロスの父、辺境マケドニアの王、フィリッポス。軍制改革(ハリネズミ式の重層歩兵)、経済改革(農業・通貨・鉱山など)を行い、オリンポスを統合。

その父が暗殺され、その後についたのがアレクサンドロス。若干二十歳。父からはスパルタ式に肉体的を、ソクラテスから精神を学ばさせられて育てられた。この留学時に知り合った学友らがのちの東征を一緒に行う。

初陣は18歳。マケドニアアテネ・テーベ軍。ここでアレクサンドロスは、騎馬隊をつれてちょっとした隙をついて、会心の一撃を与える(父からは動くなと言われていたにもかかわらず)。おそらく戦の天才である彼は、その勝利のタイミングをみると動かずにはいられなかったのでしょう。

この戦の天才ぶりは、その後もいかされ、生涯負けなしとなる。

アレクサンドロスの東征については、マジでスゲーとしか言いようがない。戦はもちろんだが、じつはロジスティクスも考えており、本国からどう兵士を補給するかを考えて攻めている。

今でいうトルコ領を制圧→イスラエルあたりを制圧(これで海上輸送が使える)→エジプト→メソポタニア→ペルシャパキスタンあたりまで制圧する。

あとアレクサンドロスの統治方法は、敗者同化と民族融和をしようと試みている。つまり現地住民を使って統治する。人材として限界があるので、このやり方しかなかったのだろうけど、この敗者同化政策はのちのローマ帝国の統治方法にも通じます。後半、ペルシャでは大規模な共同結婚式なんかもやっています。

21歳で始まった東征は、32歳に終わる。アレクサンドロスは、アラビア半島からカルタゴに向かう征西を準備しているさなかだった。おそらく死因はマラリアだったという。

アレクサンドロスが一番大事にしていたのはスピード。

わずか10年足らずで、ギリシアからインダス川までの巨大な帝国を作ってしまった。それは好奇心と冒険心あふれる若者だからできたのでしょう。

 

のちの名将カエサルスキピオハンニバルアレクサンドロスについてしゃべると「彼は若かったからね」と言っているでしょうということが書かれていました。カエサルガリア制圧をしたのが40歳を超えていたので、いかに早熟の天才で成し遂げたかがわかります。

また最高潮で死んだので伝説になったとも言えますね。

 

さてこれで『ギリシア人の物語』を読了しました。

著者の最後の歴史再構築エッセイ?とあとがきに書かれています。この人、マジで面白いので、もっと読んでいたいのですが……。

 

 

 

lifeisashowtime.hateblo.jp

(読書)ギリシア人の物語Ⅱ 民主政の成熟と崩壊/塩野七生

ギリシア人の物語Ⅰ』が、アテネライジングしていく姿を描いていたのに対して、『Ⅱ』は、最盛期から崩壊を描いています。

前半はテミストクレスの後をついで、アテネの最盛期をつくったペリクレス都市国家であったアテネの肝は、東地中海、特にエーゲ海から黒海にかけて成立した「デロス同盟」による経済と軍事の繋がりを形成したこと。

ペルシア戦役のあと、ペルシアもスパルタを率いる王もペリクレスと同年代で、相性が良かったというのありました。

ただペリクレスの晩年から始まる「ペロポネス戦役」がアテネを没落に導く。

 

ペリクレスというリーダーがいなくなったことによって、デマゴーク(扇動家)がたびたび出てくる。

その代表がクレオン。まじでこの人がいなかったら、もう少しましだったのではないかと思えてしまう。

 

そんな凋落するアテネの救世主ガアルキビアデスであった。彼は名門、ハンサム、そしてソクラテスを師にもち、弁論においては天才的。まさしくリーダーでした。しかしそんなアルキビアデスも、アテネの再起には役立ったが、シチリア遠征の途中で本土召喚に応じなかったということで国際手配人となる。ちなみにこの本土召喚を仕組んだのもクレオンの後継となっているデマゴークたちという。

ここで面白かったのが、アルキビアデスがなんとライバルのスパルタに亡命する。さらに軍事顧問に就任する。さらに王妃を妊娠させてりもしている。さすが稀代の美男子である。

さらにスパルタの後、ペルシアに渡り、ペルシアの地方の政治・軍事顧問に就く。これはまさしくテミストクレスと同じではないか!笑ってしまいます。

その後、東エーゲ海のサモス島に渡り、なんとここでアテネ海軍の指揮をする。

そのころペロポネソス戦役は20年も続いており、アテネシチリア遠征で大敗をしている。その状況をつかって、アルキビアデスはアテネに返り咲いてします。まぁお見事です。

ただ返り咲いたアルキビアデスもノティオンの海戦で副官が思うように動かず、敗戦。するとまた扇動家がアルキビアデスを失脚させる(その後暗殺される)。

その後、削られていく海軍。お金も人材もどんどん無くなっていく。アイゴスポラモイ海戦で海軍が壊滅に、制海権が失われてその後アテネ兵糧攻めに。最後はアテネの無条件降伏となる。ペリクレスの死から25年で崩壊である。

 

読んでいると扇動家ってマジでやっかい。

ちなみに今日ならば、政治家だけでなく、マスコミやウェブやSNSなども自覚していようがいまいが関係なく、扇動家となります。

最近のアメリカも日本もみているとこの扇動家が幅を利かせて、実際に当選したりするのをみると民主制の悪い部分が出てくる(信者はさらにそれを信じ、拡散するからなおタチが悪い。N党とかね)。

先が思いやられます。

 

民主政のリーダーをとは、民衆に自信を持たせることができる人。

一方、アテネが崩壊していったころの衆愚政のリーダーとは、民衆が心の奥底に持っている漠とした将来への不安を、煽るのが実に巧みな人、としている。

 

本書Ⅱ巻の最後は、こう結ばれています。

ソクラテスの言うとおり、人間にとって最大の敵は、他の誰でもなく、自分自身なのである。アテネ人は、自分たち自身に敗れたのである。言い換えれば自滅したのであった。

 

民主制の良い部分が機能したのがペリクレスまでのⅠ巻。それ以降が民主制の悪い部分が出まくったのがⅡ巻でした。

 

 

 

 

lifeisashowtime.hateblo.jp

 

(読書)M-1はじめました。/谷良一

今や年末の恒例となっているM-1。それが立ち上がったのは2001年。もうすぐ四半世紀も前の話になるのですね。

漫才はすでに人気のないものだった。その漫才の威信を取り戻すプロジェクトとして企画されたのが、M‐1。

外向きには島田紳助が動いたということだが、あとがきにもあるように裏側で動いていたのが著者ということになります。

 

僕自身、普段テレビを見ない(というか家にない)のだけれども、M-1だけはチェックしている。決勝に進む10組を自分なりの笑いの基準で見ています。マイク1本での勝負。M-1優勝すると人生がかわるというほどの権威となるものを2時間半で、体感できるのは極上のエンタテインメントではないか。

そんな極上のエンタテインメントをつくった話なのだから面白いに決まっています。お仕事本として、そしてお笑いの裏側としても。

ひとつのプロジェクトができていくエピソードを追体験できました。

 

 

(映画)TRAP@109シネマズ名古屋~エンタメ度満載だった今回のシャマラン映画

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★★★☆

 

時間があったので、何か映画でも観ようかということで観にいった作品。

M・ナイト・シャマランが監督・脚本を手がけるサスペンススリラー。一見、愛情深い父親でありながら、実は凶悪な殺人鬼だという男を追い詰めるべく、警察が巨大ライブ会場に罠を仕掛ける。

 

ライブ会場が舞台のサスペンス映画。まずはサイコパスである父の視点から、どうこの会場から脱出するかを描く前半戦。

 

そこからライブをするアーティスト側の視点に切り替わる後半、さらに家族視点になる終盤とどんんどん視点が変わるという非常に面白い作り。

 

前半戦のライブ会場のシーンは、ちょっとおいおいライブ中にそんなにロビーに人が出ていくのはおかしいだろという突っ込みを入れずにはいられませんでした。ただそこを除くと非常に面白い、ドキドキさせられる一本となっていました。

 

これで105分にまとめているのですから、さすがシャマラン。見事なエンタメサスペンス映画です。

 

wwws.warnerbros.co.jp

(読書)ギリシア人の物語1 民主政のはじまり/塩野七生

古代ギリシアの民主政はいかにして生れ、いかに有効活用され、機能したのか。

アテネとスパルタ。

そして襲ってきた強大なペルシア帝国が侵攻と団結。

 

大好き『ローマ人の物語』の塩野七生ギリシアの物語の1作目を読んでみました。

戦争ばかりやっていた都市国家たち。軍事のスパルタが強大化しているなかで、ソロン→クレイステネスの改革で民主制を取り入れたアテネ

 

そんな中で襲ってきたペルシア戦役。

著者の描く戦争描写は『ローマ人の物語』でも感じたが本当に面白い。ペルシア戦役は2回ある。

1回目はマラソンの語源にもなった、マラトンの会戦。

アテネ軍の快勝で終わった1回目のから、10年後の2回目は、まず陸軍では、テルモピューレでの会戦(映画『スリーハンド』の舞台)で、スパルタ三百の戦士による死闘。そこが突破されたあとに行われたサラミスの海戦(主にアテネ海軍 vs ペルシア海軍(フェニキア海軍など))とプラタイヤの陸戦(主にスパルタ・アテネなどギリシア連合軍 vs ペルシア陸軍)と続く。

 

サラミスの海戦の英雄が、アテネテミストクレス。プラタイヤの陸戦の英雄は、スパルタのバウサニアスとなります。

 

本書が面白いのがこの2人の英雄のその後が描かれていること。アテネテミストクレス(おそらく著者は好きなタイプ)は、その創造力で、アテネと港のピレウスの一体化事業に着手する。この事業は、アテネが迷走の時代においても東地中海の一大通称センターの地位を守り抜きます。

この誰も考えつかないことやる創造性をおそらく著者は大好きであり、カエサルの時にはその愛が詰まって描写されています。テミストクレスに対しても同様な思いがあったような描写になります。

若き、スパルタの英雄バウサニアスというと、ビサンティオンを攻め、完全にペルシアの脅威を消しさります。(ちなみにビサンティオンはその後、アテネ支配下にはいります)

その後バウサニアスは、ペルシアと通じていたという証拠をあげられ(これは現代になって偽物と証明される)死罪。

一方、テミストクレスアテネを追放されます。ギリシアからエーゲ海の島にわたり、マケドニアへ、さらにイオニア地方(今でいうトルコ)へ上陸する。そしてなんとペルシアと接触し、王に謁見。最後はペルシアの一地方を収める知事の職まで得ている。

それも善政を敷いていたという。逃避行中も、行く先々で人に助けられ(助けることす自体が喜びと評される)る、さらに敵国に潜り込むあたりは、天性の人間的魅力を持った人間なのでしょう。

 

歴史家ツキディデスは、テミストクレス

「中でもとくに、必要となるや必ず発揮された天才的と言ってもよい独創性。(中略)その洞察力は鋭くかつ深く、一見しただけで状況を完璧に把握し、こうこつと言ってもよいぐらいのやり方で迷わずに実行に移すことによって、今現在のみでなく、将来的にも有効な解決策を講ずることができたのである」

と評しています。

 

この天才的と言ってもよい独創性という部分がカッコいいですね。

次は、アテネの繁栄と衰退ですね。