読書
元朝日新聞の記者が定年後、バルセロナで豆腐店を開業した。修行の日々、異国での苦労、新しい出会いと交流、ヨーロッパから見えた日本の姿──ジャーナリストならではの洞察力で、「蛮勇」のカミさんと二人三脚の日々を綴った小気味よいエッセイ。一身にして…
その昔は辺境の地であった流山。それが「母になるなら、流山市。」のキャッチコピーで、6年連続人口増加率全国トップ――。千葉のニコタマと言われるまでになっているという。 契機となったのはつくばエクスプレスの開業であるが、その誘致に尽力をした井崎市…
最近、思う。あと働けても10年もないなぁと。5年ぐらいでもいい。もちろんまだ40代なので、定年退職まではもっとあるが、明らかにパフォーマンスが悪くなっていることを感じる。 会社にしがみつく気もあまりない。 そんな状態で、定年後の本を読んでみました…
コロナ中に著者が東京の街を歩いたエッセイ。 御茶ノ水の文化学院、新国立競技場、都庁、上野動物園、はとバス、トキワ壮、ジブリ美術館、渋谷そして皇居とまわる。 今回のエッセイでは、時代をさかのぼる考察がある。それは著者が若かったころの体験代であ…
かつて総合商社万年4位だった伊藤忠は、2021年には純利益、株価、時価総額の3つの指標で業界トップになった。いまや大学生の就職人気ランキングでも上位の常連である。 この躍進の背景には、創業者・伊藤忠兵衛から当代の岡藤正広CEOまで、脈々と受け継…
名作ということで読んでみました。 ロンドンの高名な紳士、ジキル博士の家にある時からハイドという男が出入りし始めた。彼は肌の青白い小男で不愉快な笑みをたたえ、人にかつてない嫌悪、さらには恐怖を抱かせるうえ、ついに殺人事件まで起こしてしまう。し…
どこからか評判を聞いて読んでみました。 夏川草介さんって、「神様のカルテ」の人だったんですね。 舞台は京都。町の診療所(といっても手術はできるし、入院もできる)に勤務する雄町哲郎。もともとは大学病院の有能な医師だった。この人の周りでおこるお…
ポーランド旅行中に読んだ本。 後で調べたのですが、著者は以前によんだ『語学の天才まで1億光年』の方だったんですね。この本も面白かったのですが、本作も面白い。 著者の説明には「誰も行かないところに行って、誰もやらないことをやり、それを面白く書く…
タイトルに引かれて手に取ってみました。河村瑞賢(河村屋七兵衛)の一代記。 伊勢国の貧農に産まれて、江戸へ出て丁稚奉公。その後、漬物や壁土加工をやり始める。この最初の部分は、アイデアを形にする要素が多分にある。これらの簡単な事業は真似をされる…
ある人に薦められて読んでみました。 ファイターズがなぜ北広島に球場を作ったのか?主人公はファイターズ職員である前沢さん。しかしその部下、球団社長、北広島の職員、札幌市の職員や市長の立場で書かれながら物語が進行します。 札幌と北広島。球団と本…
ふと図書館で手に取って読んでみた本。立ち読みをしている時に新宿区円通寺坂の写真があり、あっここ行ったことがあると思い出したからである。 この円通寺坂のY字路は、四谷三丁目駅から「君の名は。」のラストシーンである階段のすれ違いシーンである須坂…
「旅の窓」に続いて読んだ沢木耕太郎のエッセイが「旅立つ季節」。 コロナ禍があけつつある時期に書かれた国内エッセイ。この人にかかると旅の偶然が起こる。セレンディピティとでも言うのか。 エピソードの一つに、東北で現地合流をするはずだった娘ととあ…
金閣寺を読んだ後に、さらっと読めるものを読みたいなということで、沢木耕太郎のエッセイを2冊読んでみました。 まずは「旅の窓」。 旅のお供、カメラ。見開きのページの右側にエッセイ。左側に旅の写真。エッセイはその旅の写真についての著者が思ったこ…
三島由紀夫作品は、『豊穣の海』を2023年に読んで以来のはず。 金閣寺が寺の僧によって焼失した事件は知っていました。そしてそれを題材に三島由紀夫が作品を書いたことも。 『豊穣の海』でも感じましたが、50年以上前に書かれた文章とは思えないぐらい綺麗…
世界的指揮者の26歳の渡欧記。 舞台は、1960年。貨物船での単身フランスにわたり、国際指揮者コンクールで優勝。その後、ニューヨークフィルの副指揮者になるまでの2年半の自伝になります。 旅先からの手紙を織り交ぜてユーモアあるふれる文体で楽しく読めま…
2024年の直木賞候補作であり、石田衣良さんが薦めていたので読んでみました。若干文体が軽い所がありますが、題材が圧倒的に面白い、これぞエンタメ小説です。 より多くの金をつかんだ者が京都を制する――最後に嗤うのは仏か鬼か。日本仏教の最大宗派・燈念寺…
ラジオネタの本ということで読んでみました。 オールナイトニッポンを聴いていたのは、中高生時代。お気に入りは、福山雅治、ウッチャンナンチャン、ナイナイあたりでしょうか。 それから30年ほどたち、オードリーのオールナイトニッポンがドーム公演を成功…
『自壊する帝国』で初めて読んだ佐藤優。ロシア通、そして鈴木宗男とともに収監された外交官であった著者の原体験としての高校一年の40日間のソ連・東欧一人旅の旅行記となります。 エジプト経由スイス⇒東ドイツ⇒チェコスロバキア⇒ポーランド⇒ハンガリー⇒ル…
元毎日新聞社の記者だった著者が58歳で退職をして、本屋を立ち上げたストーリーが書かれています。本文中にも書かれているのですが、「なぜ本屋になったのか」というところは不明瞭。どちらかというと名作という本はあまり読んでこなかったという。 本書は本…
ウクライナ進行以降、ロシアに関する話がよく出ているので、読んでみました。著者が外交官として、ソ連崩壊の前後で立ち会っており、そのノンフィクションとして非常に面白い1冊でした。 神学を専攻していた著者。チェコで神学を学ぶためにロシアに外交官で…
沢木耕太郎の13編のエッセイ集。 それぞれテーマはあるのだが、途中いきなり違う視点を持ち込んできる。しかし結果的には元のテーマにつながり、補強するような作品が多かったです。 それにしても読みやすい文体の方ですね。 作品のひとつ「マリーとメアリー…
『塞王の楯』の今村翔吾で面白いということで、読んでみました。僕自身が大阪出身、それも真田山などは、小さい時から遊んでいた場所ということで、なんとなく愛着がある真田幸村が主人公。 ネタバレあり 舞台は大阪夏の陣。まず初めに、幸村が大坂方につい…
芥川賞受賞作。知り合いが読んだということで、読んでみました。 授賞の時に著者が、一部AIを使って文章を書いたということを述べていたのを覚えています。 本書は、新国立競技場がそのままザハハディドのデザインで建てられたというパラレルワールドが舞…
本屋で平積みされており、帯には「東大・京大で一番読まれた本」という文字が踊ります。どうも最近この「東大生が」というものが書かれいるものが増えましたね。 さて本書は、「暇と退屈」について考察された哲学入門書となります。これが確かにということが…
2023年、発行された村上春樹、6年ぶりの長編。1200枚長編ということですが、あっという間で4日ほどで読んでしまいました。 あとがき(著者自身、あとがきを書く趣味は無いのだけれども、今回は説明が必要だから書くということ)にも書かれてある様に、『世界…
ギリシア人の物語の最終章になります。今回は、のちに大王と呼ばれることになるアレクサンダーについてがメインになります。 アテネの崩壊のあとに覇権をとったのがスパルタ、しかしもともと覇権国というよりも孤立主義であるスパルタは、中規模の都市国家で…
『ギリシア人の物語Ⅰ』が、アテネがライジングしていく姿を描いていたのに対して、『Ⅱ』は、最盛期から崩壊を描いています。 前半はテミストクレスの後をついで、アテネの最盛期をつくったペリクレス。都市国家であったアテネの肝は、東地中海、特にエーゲ海…
今や年末の恒例となっているM-1。それが立ち上がったのは2001年。もうすぐ四半世紀も前の話になるのですね。 漫才はすでに人気のないものだった。その漫才の威信を取り戻すプロジェクトとして企画されたのが、M‐1。 外向きには島田紳助が動いたということだ…
古代ギリシアの民主政はいかにして生れ、いかに有効活用され、機能したのか。 アテネとスパルタ。 そして襲ってきた強大なペルシア帝国が侵攻と団結。 大好き『ローマ人の物語』の塩野七生のギリシアの物語の1作目を読んでみました。 戦争ばかりやっていた…
スターバックスってもともとサザビーとアメリカスターバックス社の合弁だったのですね。本作はその日本上陸から拡大、上場までの中にいた著者による回顧録となっています。 サザビー自体は、ライフスタイルカンパニーとして、ファッション(アニエスベーなど…