映画化もされた三浦しをんの小説。
辞書作りという思いもつかない設定の爽やかな小説でした。
「辞書」がテーマということで、色々な「言葉」が出てきます。記憶というものは言語化することで残っていくということ、「言葉」を残していく、新しい「言葉」に入れ替えていくということ自体が、大河のようです。
作風ともいう作者ならではの「言葉遊び」も楽しい本でした。ヒロインの名前が林 香具矢(かぐや)。その林 香具矢 が営む料亭の名前が『月の裏』。
満月の夜、「迎えに来たよ」「迎えに来てくれたんだ」というフレーズで出会う(この辺りはライトノベルっぽい)。
そのほか夏目漱石の「こころ」の遺書についての考察もあります。そうでした「月が綺麗ですね」と訳したのも漱石でしたね。