劇団の街、下北沢。そんな下北沢を舞台に弱小劇団の門を叩いた主人公。その主人公が入ることによってのミラクルが起こる。
少し前に「演劇の街」をつくった男 本多一夫と下北沢」という本を読んだことで、下北沢の演劇がどのようになっているのかを把握して、本書を読んだので一層物語の世界がわかりました。
実際、本書にも本多一族を彷彿とさせる人も登場します。劇団の出世をサイコロのように駆け上がっていくつくりは、先の本にも書かれていました。
劇団あるあるのネタを配し、夢を追う姿。駆け上がる躍動感、分解する危機、発展的分裂など、非常に起承転結ができた小説でした。
石田衣良さんの文って、やっぱり上手いですよね。