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(読書)エンタメビジネス全史 「IP先進国ニッポン」の誕生と構造/中山 淳雄

たいそうな名前をつけたものであると手に取ったときは思った。

しかし、「興行」「映画」「音楽」「出版」「マンガ」「テレビ」「アニメ」「ゲーム」「スポーツ」という9つのジャンルを横断的に書かれた本書は、本当に面白かった。

もともとエンタメのビジネスモデルには興味があり、「興行」「映画」「音楽」「テレビ」や一部「スポーツ」などのビジネス本は読んでいた。実際、本書にある内容のいくつかは知っていたし、参考文献のいくつかはすでに読んでいた。

教科書的(誤字は多いが…)であり、多岐にジャンルを一通りカバーしている点、そしてそれぞれのジャンルが結びついたりしている点を一冊で示している。

まるで世界史の教科書のようです。

個人的には「テレビ」は媒体であるので、ここに入れるのはどうかと思うが、この「テレビ」こそが他のコンテンツとのハブを担ってきたことが、今さらながらよくわかる。それは、野球やプロレスであり、アニメであり、映画であった。テレビのコンテンツになるかどうかが、そのIPを持つ者の生命線であった。

そして現在の日本のコンテンツの限界もこの「テレビ」主導である点でもある。テレビの凋落、コンテンツのガラパゴス化が進む。テレビの影響力が落ちたのち、各IPは海外を目指す、興行として足し算に走る、WEBと結びつくなどを取り始めている。

 

もう一つ面白いのは「音楽」について。著者は「音楽」をエンタメのカナリアと表現しています。

もともとは演奏することで業界が成り立っていた。それがラジオの普及で、演奏の価値が逓減(というよりもラジオで拡大した)。その後テレビに、さらにレコード、CDの普及で大量生産することができるようになる。その後、興行ビジネスとして足し算の世界になり、それがストリーミングになってきている。

時代の先進性があるのが「音楽」というもの。時代はストリーミングという掛け算ビジネスに入っています。

もし著者のいうように「音楽」がエンタメのカナリアなら、他の日本のコンテンツもタイトルにあるようにIP先進国になるかもしれません。