著者の本は、以前「松竹と東宝」という新書を読んで以来。
本作はプロ野球85年において球団を経営する55社の企業(一部個人)の歴史とともにひも解く、日本史の近現代経営史でした。
鉄道、新聞社が主導した勃興期、戦後の映画会社、食品、そして小売りからIT。野球を愛した人もいれば、経営的な考え方からや宣伝として、またお願いされた会社まで、球団を持つ意味は様々でした。
現在のボールパーク構想の基本である球団と球場の一体経営についても、意図せずそのような形につながった会社があったり、逆に巨人は都度借りればいいという考え方から後楽園球場は別事業者だったりするということが歴史的に書かれています。
55社の歴史を学べる1冊。読み応え十分でした。
ちなみに著者は阪神ファンらしく、あとがきでプロ野球勃興期から現在まで一度もオーナーが変わっていないのは、わが阪神球団のみと結論づけています。
このあたりはご愛嬌で。