Life is a showtime

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(読書)中野ブロードウェイ物語/長谷川 晶一

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たまたま見かけてとった本。中野ブロードウェイに住む著者による、日本の九龍城?ともいわれる聖地中野ブロードウェイのノンフィクション。

 

1966年に建てられた中野ブロードウェイ。下層階が商業施設、上層階が住居施設で屋上にはプールや緑地まであるという作りで、できた当初はシンボル的な高級マンションだったという。

住居には青島幸男沢田研二が住んでおり、下層階の商業施設にはにぎわったショッピングアーケードだったという。今でいう六本木ヒルズのようなものでしょうか。

その後、新宿や吉祥寺、高円寺などが台頭するにつれ、高級ショップが抜け、日常的なものが増え、やがて「まんだらけ」が登場します。

増殖する「まんだらけ」。当初は確執(今もあるみたいですが)もありつつ、サブカルの聖地としてその地位を築いていきます。オタクの聖地です。中野サンプラザが近くにあったことも飛躍の要因でしょうか。

それが、2010年代から増えてきたのが高級時計ショップ。これは外国人向けというのと買取のアンテナショップという位置づけで拡大中となっています。

 

本書でも引用されていますが、コラムニスト泉麻人は、中野ブロードウェイを「みなコンセプトが甘い」と評しています。B級で固められているショップ群。これがアジア感のあるビルとして魔力を放っているのではないでしょうか。

 

路地にこそ街の魅力があると考えている僕。そして各地の商店街が廃れていく中で、それが生き残るには、東京など一部のかなりの人口集積がある街であるのが条件であると思います。

その商店街・路地的なものの魅力は、どこにでもある街ではないということ。その魅力をビルの中に詰め込んだのが、中野ブロードウェイではないのでしょうか。

 

そんな中野ブロードウェイも老朽化の問題が襲ってきています。配管の腐敗や耐震問題などが問題になっています。これらを乗り越えられればいいのですが、地権者が複雑で合意の得られにくいビルであることが、足枷になっています。

はたしてこれからの中野ブロードウェイはどうなっていくのか。著者は住人として、楽しみにもしているということです。

 

次に東京行ったときには、その魔窟に行ってみたいと思います。