★★★☆
仕事がひと段落したので久しぶりの映画観賞です。こうした仕事や育児といったこと以外の部分って人生には必要ですね。
本作、パトリオット・デイは、ボストンマラソンの爆発事件を題材にした映画になります。主演はマーク・ウォールバーグ、そしてケビン・ベーコン。ケビン・ベーコンの出る映画は、良作の可能性が高いです。
ボストンマラソンの爆発直後のまさしく混乱、動揺から始まり、FBIが出てきての捜査劇、犯人の特定、追い詰め、銃撃戦…。物語は捜査の時間軸に沿って展開されていきます。追う側と追われる側の両方から描いたスリリングな展開はテレビドラマシリーズの『24』のようなハラハラさせつつ、テンポ感のあるものでした。その意味ではアクション映画としては良作でした。
街を愛する人たちが団結する、人同士が愛するというのも本作の一つのテーマになります。ボストンという多様性を受け入れる街とそれを愛する人達というところも共感できる部分です(インテリジェントなアメリカの部分ですね)。
またエンディングでの、実際のボストンマラソン被害者の証言、そしてケガを負い義足になった方が、再びボストンマラソンを完走する姿は本当には心を打たれ、思わず涙してしまいました。
ただ一つ気になったのは、やはりこれはアメリカ的な正義の映画であるということ。それが、万々歳で★5つとならない部分です。
実際、テロは無慈悲なもので許されないものです。一方、犯人サイドの自分の命までかけてやる、犯人側の正義とはなんなのだろうか。実際、犯人の妻は小さい娘がいるにもかかわらず、夫のために黙秘を貫きます。娘よりも大事なものとはなんなのか…。これが宗教の力なのか。
僕自身の考え方として”多様性の寛容さ”こそが、社会で一番大事なことだと思っていますし、今もそれは変わりません。ただそれは性善説にすぎないというのもわかっています。このはざまを考えさせられた映画でした。
面白かったですが、どことなく気持ち悪さも残る、考えさせられる1本でした。