以前、ビブリオバトルで紹介されていた作品。
「読者が犯人」というミステリー界の究極のトリックが題材となっています。そんなことは、不可能だ!という声が聞こえてきますが、ある設定をすればそれは可能ということになります。
読んだ結果は、まぁなるほど……という感じでしょうか。おそらく感嘆に至らなかったのは、その設定が、わかるようなわからないようなというところにあるのではないでしょうか。ただそんなことをいうと、山奥の別荘もノンストップの特急列車という状況も通常ではありえない設定ということなので、この設定についてケチをつけるのはナンセンスなんでしょう。
おそらく、頭ではこの設定も受け入れないといけないというのはわかっているのですが、読者を巻き込む時点で、それは本の中の虚構と現実がつながってしまうところに??を感じてしまうのではないかと思われます。
ただ理論的には、わかるわけですし、その果敢な挑戦作ということで、一読の価値はありです。
それよりも面白かったのは、作中に登場する超能力の研究をしている大学教授のお話し。
動物は、コミュニケーションの方法として、超音波などの方法を使っている。人類はより安易な言葉によるコミュニケーションに頼ったため、そうした能力が退化したのではないかというお話。
ちなみに人類の次の進化あるのであればコミュニケーションの方法による進化というのが、この教授の持論でした。
このツールとしての言語という考え方が面白かったです。
ちなみに妻にそれをいうと、おそらく動物がもっているそうした伝達能力では、伝達量が少ないのではないか。人類は、子どもの養育期が長いので、より伝達量が多い言葉によるコミュニケーションを選択したのではないかということを言われました。
クールな妻でなによりです。