栃木県那須塩原市にあるパン屋さんの物語。
阪神・淡路大震災の時に、缶に入った美味しいパンが欲しいという被災者の一言から開発が始まったパンの缶詰め「救缶鳥」。
保存料を含まないパンの劣化への対策をして商品化、中越地震などの災害で注目される。
次の課題は、賞味期限切れの商品のパンの回収。普通ならば食べてくださいというところを課題解決に乗り出す姿勢は、本当にすごいと思います。
方法としては、購入者に2年がたった時点でリマインダー連絡がいき、回収した場合は次回の購入が安くなる。もちろん自分で食べてもOK。回収された缶は検品の上、災害地で配布されたり、NGO団体を通じて、外国に届けられる。
文字で書くと簡単ですが、この仕組みを構築したことが素晴らしいです。情熱もですが、採算面でもこれでもやっていけるようにしたことが凄いです。
情熱とう意味では、「ミッション、パッション、アクション」と本書に書かれていました。最後のアクションまでもっていくことの大切さ。
そしてそれとあわせて、社長はあくまでビジネスとして回すことの重要性を社員に説くといいます。パンの缶詰の話題が先行するので、この会社へはボランティア的な意識を持って入社が多く、営業配属などになると思っていたのと違う……となります。
ボランティアでは長くは続かない、やはりビジネスベースで採算が成り立つ形での社会貢献にしないといけない。
これは欧米型のNPOでは取り入れられている考え方になります。善意や補助金事業は続かない。続けるためにはお金についてもサイクルを考えないといけない。