★★★☆
黒柳徹子の幼少期を描いたベストセラーのアニメ映画化。
本作のテーマはおそらく2つ。ひとつはトットちゃんのトモエ学園での学園生活。もうひとつは戦争。ただ戦争の部分は、本編の終盤にしか出てこず、主にトットちゃんの幼少期の学園生活について描かれています。
落ち着きがないトットちゃん。今思うとADHDなんでしょうね。通常の小学校を追い出されてしまい、新しく入ったのがトモエ学園でした。このトモエ学園での学友たちとのつながりが描かれます。
トットちゃんと小児麻痺の泰明君とのエピソードが主軸にあるが、それ以外の子どもたちにも上手くフォーカスが当たっています。
トモエ学園のフリースクール的な教育方針も上手く描かれており、戦前・戦中にこのような教育方針を貫いた小林先生の熱量が凄かったのだろうと想像できます。実際、戦争で焼け落ちるシーンで呟いた、「次はどういう学校を作ろうか」という言葉は、映画にある通り、戦争の炎よりも熱い志だったのでしょう。
戦争が忍び寄る様子も上手く描かれています。特に駅員さんの描写とか素晴らしいです。
映画の冒頭と最後にチンドン屋が出てくるのですが、それがいつの時代も人の心を惹きつけるチンドン。
トットちゃんはその後、テレビ黎明期から活躍します。それは泰明君から聞いたテレビジョンというものの話も影響したのでしょう。チンドン屋的な人の心を楽しませるものになろうということを象徴的に描いているのかなぁと考えてしまします。