数年前のベストセラーである本書。たまにはしっかりとした本を読みたいと思い、読んでみることにしました。
暗い未来と明るい未来、そして未来の働き方とは?
本書ではまず未来において起こることを5つ挙げています。テクノロジーの進化、グローバル化の進展、人口構成の変化と長寿化、社会の変化、そしてエネルギー・環境問題の深刻化の5つ。
この5つの要因によって、未来で訪れるであろうシュミレーションが書かれている。暗い未来編では「時間に追われる未来」「幸福を感じない社会」「新しい貧困層がうまれる未来」といった具体例があげられている。
一方、明るい未来編では「みんなの協力で大きな仕事ができる未来」「共感を産み積極的に社会と関われる未来」「ミニ企業家が台頭する未来」という事例があげられている。
これらの事例はともに先の5つの要因が関わりあって生まれるであろう未来である点が興味深い。物事には良い面と悪い面が存在するということを再認識させられました。
そんな中、明るい未来を迎えるためにどういう心構えをすべきかというと、
- 知的資本を強化する
- 人間関係資本を強化する
- 情緒的資本を強化する
というようにまとめられている。
知的資本の強化とは、専門技能を連続的に習得しようというものである。ゼネラリストからスペシャリストへ。そしてそのスペシャリストも近似の分野に広げていくことが必要ということです。
人間関係資本の強化とは、多様性のある人的ネットワークの構築の必要性が説かれています。一人で抱え込むのではなく、多くの人と交流しながら物事を解決していこうという姿勢の大切さになります。それは情報のキャッチ力とともに発信力、そして協力したくなるような愛嬌というものでしょうか。
最後の情緒的資本というものは、数多くの選択をしていく人生においてその決断基準の明確さとなります。自分の価値観をしっかり持つことによって、どういう取捨選択をすべきかということがはっきりしてきます。
ではどういう価値観を持つべきか。著者によると、消費するだけの価値観ではなく、経験重視の考え方が重要になってくるだろうということです。
「価値観」について考えてみた
自分の価値観をはっきりさせるということは、以前読んだ橘玲氏の本にも書かれていました(というよりもこちらが後出しかもしれませんが…)。
金銭ではない部分で価値観を持つことが、庶民でも幸福を感じられる唯一の方法であると。
「価値観」って、幸福のための指標として非常に有効です。もちろん金銭もその一つではあるのですが、経験や人間関係、家庭といった要素を取り込むことって救われる要素がでてきます。人生を振り返ったとき、そのうちどれか1つぐらいは満たされたなぁというのであれば救われますもんね。
価値観をレーダーチャートのように広く持つ、これこそが救われる人生だと思う。
そんなことを考えた本でした。
ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉
- 作者: リンダ・グラットン,池村千秋
- 出版社/メーカー: プレジデント社
- 発売日: 2012/07/28
- メディア: ハードカバー
- 購入: 17人 クリック: 476回
- この商品を含むブログ (131件) を見る