Life is a showtime

やりたい事とか日記とかをつれづれなるままに……

(読書)人口で語る世界史/ポール・モーランド

マルサスの『人口論』を突き抜ける事象が、19世紀にイギリスで起こる。農業革命とそれに続く産業革命に由来する。

農業革命で土地あたりの農作物の収穫量が増える。産業革命はイギリス外で生産された農作物を物流という形で調達できるようになった。

 

イギリスから始まった人口爆発は、ヨーロッパ諸国、アメリカ、ロシア、日本、中国、インドと伝播していく。本書では、覇権のひとつの大きなファクターとして人口があるとしており、おそらくその通りなのだろう。

若い世代は好戦的であり、覇権を広げる。

 

イギリスから始まった人口爆発とその後にある高齢化と人口停滞につながり、その先頭を行くのが現在日本である。

東アジアが老いつつある中で、未知なるライジングとして本書が最後に指摘しているのがナイジェリアである。

2100年はおそらくナイジェリアが今のインドのような立ち位置になっているのでしょう。

 

 

(映画)カラーパープル@109シネマズ名古屋~黒人同士を中心に家庭内暴力・虐待・女性蔑視を描いた作品

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★★★

スティーブン・スピルバーグが1985年に手がけた同名映画をミュージカル映画としてリメイクした「カラーパープル」を観てきました。

 

ほとんど前情報なく観たのですが、黒人VS白人という要素も一部あるのだが、それよりも黒人間の家庭内暴力や虐待、女性蔑視などを描いた作品だというのが意外でした。

 

黒人で女性という弱者の中の弱者ですが、それでも同じ境遇でも強く生きている人たちも出てくる。その中では時には痛い目をあう女性もいる。しかし主人公セリーは、どこかそのように強くは生きれない。

ただそれでも生きなきゃという深い信念を貫いていました。

 

生きなきゃ

 

それがミュージカルとともに全面に(それも前半から)でている映画でした。

 

wwws.warnerbros.co.jp

(映画)哀れなるものたち@伏見ミリオン座~欲について考えさせられる一本

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★★★★

 

本年度アカデミー賞最有力作品ということで早速観てきました。

”ゴッド”と称されるサイコな外科医によって、赤ん坊の脳と大人の身体を持って再生されたベラ。体と頭が追い付いていない状況から、それが頭が体に追いついていく様子が一種ファンタジー的に描かれていました。

 

まずもってエマストーンが凄い。アカデミー賞主演女優賞間違いないでしょう。子ども時代のベラ。性の目覚めたベラ(ここでカラー映画になるあたりは失笑)。知に目覚めるベラ。自分の生きる道を見つけるベラ。

そこにあるのは冒険心、知らないものを知りたいという欲求、自分が見ている世界ではない世界があることを知ったときの衝撃(アレクサンドリア)など、人が持つ知識欲が詰め込まれていました。

 

一方、マーク・ラファロ演じる弁護士は、一般的にいうと男性的な欲と常識に縛られた人物として描かれています。

自分にないものをもつベラ(その天真爛漫ぷり)の虜になり、最初は支配しようとするが、手に負えなくなり、逆に虜になってしまい、破滅まで付き合ってしまう。フィクションとしては笑っていられますが、どこか自分と共通する部分もあると思っていまいます。

一歩間違うとそうなる危険性は誰にでもあるわけで。

 

2時間20分という映画の中で、ある女性の幼少期~成人までの心の成長ぶりを味わえるというのは非常に面白かったです。

 

女性の解放というフェミニズム的視点で語られることも多い作品ですが、ファンタジーというベールのつつまれた人の欲について見事に描いた作品でした。

あと衣装・美術も素晴らしいです。こちらもアカデミー賞取るでしょうね。

 

www.searchlightpictures.jp

中学受験を終えた息子へ。

息子の中学受験が終わりました。2年半の塾生活を経ての受験でした。塾では、勉強の仕方と面白さに気づいたようで、受験が終わった日も塾に行きたがっていました。

これだけでも塾に行った甲斐があったというものである。

ただテスト自体をゲーム化しているきらいもある。まぁ日本の受験のシステムでは、大学受験まではそれでもクリアできると思いますが。

 

もともと算数が得意で、小学校6年秋より休止していた公文式の算数(すでに数学)も再開を希望しており、パッパと高校生過程まで終わらせたいという。公文式の賛否もありますが、彼の中で一つの自信にはなっているようです。

本も大好きで、受験が終わったら好きな本を10冊買ってあげる約束をしていました。

 

結果としては、第一志望は不合格で、第二志望へ進学することになりました。

そんな息子へ父からアドバイス

 

これから青春です。楽しいことも辛いこともある。でもその時を思いっきり楽しんだ方が良いです。もう親は、あなたに構いたくても構えません。親にできることは、金銭的なサポートとあなたの人生が幸多きことを祈ることぐらいです。

保育園の時、小さかったあなたと二人で熊本と大分に旅行したのを思い出します。阿蘇山のドライブウェイでは、チャイルドシートが外れて、後部座席で転がっていたっけ。最後の別府温泉では母が恋しくて宿から電話してたっけ。

そんな思い出をくれただけでも十分親孝行です。

 

世界は広く、未知なるものに溢れています。辛いことも悩むこともあると思いますが、それ以上にとても楽しいものです。

 

気を付けて、だけど恐れずに

 

(読書)君のクイズ/小川 哲 ~これはクイズの小説ではない。クイズ番組を元にした人の物語である。

本屋で話題になっていたので読んでみました。

噂にたがわずあっという間に引き込まれ、2時間ほどで読了。

『なぜ対戦相手は、問題を言う前に答えられたのか』

という究極の問いを読みほどいていく。クイズ番組の決勝の問題を振り返りながら、その問いとともに主人公の人生、相手の人生を振り返っていく。

 

テーマも面白く、構成も面白い。オチも良いのだが、エンディングだけちょっと……というところでしょうか。ミステリーとも、エンタメ小説ともいえる不思議な面白い小説でした。映画化されそうですね。

 

 

(読書)5A73 / 詠坂 雄二~幽霊文字についての小説

巷で話題になっていたので読んでみました。

関連性不明の不審死の共通項は身体に残された「暃」の字。
それは、存在しないにも拘わらず、
パソコン等では表示されるJISコード「5A73」の文字、幽霊文字だった。
刑事たちが、事件の手掛かりを探る中、新たな死者が……。
この文字は一体何なんだ?

設定は面白い。どう落ちをつけるのかが気になる展開。オチもまぁ個人的には許せるところだと思います。ただあとちょっと足らない感じだったと思います。

文字通り「幽霊文字」についてのさまざまな考察とオチ。

 

ひとつこれはと思ったのが、記憶の蓋を開けていくシーンが描かれています。大人たちには見えなくて、子どもには見えるというもの。要するに大人はそのシーンを黙殺するという形の考察になっており、例えば「傷痍軍人」というシーンがあります。

僕の頭には「暃」の文字を子供にだけ見える首吊り自殺と思ってしまい、思わずゾッとしてしまいました。

 

 

5A73

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ガウディとサグラダ・ファミリア展@名古屋市美術館

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気になっていた名古屋市美術館で開催中の「ガウディとサグラダ・ファミリア展」に行ってきました。

この会館に珍しく2階から1階に降りるという方式での特別展でした。2階がガウディについての考察、そして1階がサクラダファミリアについての展示となっています。

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ガウディの「答えは自然界にある」という意図の伝わる展示でした。一方、サクラダファミリアの部分では実際に使われていた彫刻がありました。外尾悦郎が彫ったこの生誕のファザードの彫刻は、本当に惹きつけるもの、ゾクゾクしてしまいました。

あとは内部のまるで木々の中にいるかのような演出も見ごたえがありました(映像ですが)。

 

ちなみに僕自身、2010年(これは後で調べたのだが)に実際にサクラダファミリアを観にいってました。当時は4本の尖塔がありるのみで、内部も完成はしてませんでした。2020年にマリアの尖塔と2022年にはルカとマルコの塔が完成していました。NHKの空撮映像もありましたが、行った時とあまりにも変わっていてビックリでした。

2026年には一番高い尖塔のイエスの塔が完成するという(全体完成ももっと先のようですが)。

未完の建築物だとおもっていたサクラダファミリア。

いつの間にか完成してしまっているかもしれません。

gaudi2023-24.jp