★★★★
本年度アカデミー賞最有力作品ということで早速観てきました。
”ゴッド”と称されるサイコな外科医によって、赤ん坊の脳と大人の身体を持って再生されたベラ。体と頭が追い付いていない状況から、それが頭が体に追いついていく様子が一種ファンタジー的に描かれていました。
まずもってエマストーンが凄い。アカデミー賞主演女優賞間違いないでしょう。子ども時代のベラ。性の目覚めたベラ(ここでカラー映画になるあたりは失笑)。知に目覚めるベラ。自分の生きる道を見つけるベラ。
そこにあるのは冒険心、知らないものを知りたいという欲求、自分が見ている世界ではない世界があることを知ったときの衝撃(アレクサンドリア)など、人が持つ知識欲が詰め込まれていました。
一方、マーク・ラファロ演じる弁護士は、一般的にいうと男性的な欲と常識に縛られた人物として描かれています。
自分にないものをもつベラ(その天真爛漫ぷり)の虜になり、最初は支配しようとするが、手に負えなくなり、逆に虜になってしまい、破滅まで付き合ってしまう。フィクションとしては笑っていられますが、どこか自分と共通する部分もあると思っていまいます。
一歩間違うとそうなる危険性は誰にでもあるわけで。
2時間20分という映画の中で、ある女性の幼少期~成人までの心の成長ぶりを味わえるというのは非常に面白かったです。
女性の解放というフェミニズム的視点で語られることも多い作品ですが、ファンタジーというベールのつつまれた人の欲について見事に描いた作品でした。
あと衣装・美術も素晴らしいです。こちらもアカデミー賞取るでしょうね。