★★★★
(ネタバレ含みます)
本当に予告編に騙されました。複数の視点からみた学校の出来事。
基本的には3部構成で描かれた脚本。序盤~中盤は「いじめ」を題材にした角度によってはそう見えるよねぇということを描く。
そしてそこに仕込まれた伏線。1つ目の視点で描かれた不可解な点を2つ目で回収する、そうここまではほほぉという展開。それでもいくつかの不可解な点が残っている。それをさらに回収する3つ目の視点。
2段階に伏線を回収しつつ、まったく違うスケールの話(つまりはLGBTQ)に持っていったというのが本作の凄いところ。
このLGBTQに対する伏線も実はあちこちにあります。それがいつの間にか傷つけているという実情という世相も表している。さすがカンヌ脚本賞作品です。
もうひとつの本作の魅力が是枝監督の映像描写。この監督、本当に子どもを撮らせたら世界有数だと思います。子どもは背中を撮れということを監督がどこかのインタビューで述べていたと思いますが、要所要所にそのシーンが挟まっています。
それが少年映画としてのスタンドバイ三―的な雰囲気を醸し出します。
あと印象的なのは電車のシーンや砂の窓に雨が打ちつけるシーン、不穏な吹奏楽の音などなど‥‥。
人は見たい面しか見ない。
そんな人間の心理を見せてくれた1本でした。