★★★★☆
噂を聞いて鑑賞。
アジア各地でタイ映画史上興行成績を塗り替えるヒットとなっている映画ということ。まぁタイ映画といわれてもほとんど思いつかないのですが……。
舞台は高校。カンニング(そしてそれでお金儲けも)を試みがテーマ。学園のものの映画だとおもって舐めていてはいけません。あっという間の2時間10分でした。現時点では今年最高の1本となりました。
(以下、ネタバレあり)
まずカンニングシーンの映像の凄さ。徐々にスケールアップする3回のカンニングシーン。最後の世界を舞台にした30分におよぶ最後のカンニングシーンは、これはもうサスペンス映画そのもの。カット割りも細かくテンポがよく、それが心理的な緊張感を高めます。そして音楽もそれを増幅させます。
もうひとつの見どころは、取り巻く社会的構造を的確に表現していること。主人公のリンは、父子家庭の才女。最後に正義感が強いもののパートナーを組むことになるバンクも、同じく母子家庭という苦学生。一方、リンと友人になったグレース、そしてグレースの彼氏パッドは共に金持ちの子女。
お金がある・ない、それぞれの立場をあっという間に描き切り、その社会的問題をそれとなく示したところはあっぱれです。
また、高校生らしく男女の恋仲的なものも描かれそうで描かないあたりも好感が持てます。リンとバンクはそれぞれ似た境遇を持っています。片親家庭ということ、貧困層であるということ、そして頭が良いこと。似た同士ひかれあう部分もあったと思います。ただそこをはっきりとは描かない。この奥ゆかしさがなんとも高校生っぽいではないでしょうか。
エンディングのメッセージである
私の人生は、私が決める。
そんなメッセージがこころに刺さります。
なんにでもなれそう、だけど現実も見え始めている、そんな10代の葛藤と苦悩と冒険が印象に残る一本でした。