第二次世界大戦は、石油を求めるためにはじまり、石油のために負けた。
20世紀、石油はエネルギー政策の要であり、その重要性にいち早く気づいた主人公。出光興産の創業者をモデルにした、主人公、国岡鐡造の物語。話は敗戦から始まる。そして振り返って戦前の創業から大陸での石油小売の拡大が上巻。これだけでも壮大な物語なのに、本作がすごいのは、下巻において敗戦後の一文無しから再建をしセブンシスターズ相手に乗り込んでいく話やイランへタンカー日章丸の派遣など、経済小説として面白味まであること。
上下巻に分かれる大作でしたが、本当に面白かったです。
主人公は「士魂商才」を是とし、家族経営、馘首をしないなど、武士道な精神で経営に当たっています。もちろんこれらは良い面しか書かれていませんが、やはり心を打つ精神でもありました。
著者の右翼的な考え方はイマイチ賛同できませんが、「永遠の0」もですが、小説は面白いです。