初めて、原田マハさんの作品を読みました。
実在をもとにしたフィクション。特にご本人が美術館員をやられていたということで、アートを題材にした作品が多いです。
題材になっているのが、2003年のイラク攻撃の際に国連のゲルニカのタペストリーに暗幕がかけられたという事件。これは事実。
そして今年、実は2月まで国連のゲルニカのタペストリーはロックフェラー家に返却されており、国連に再び還ってきたと同時にロシアのウクライナ侵攻。。。
そんなタイミングでの読書でした。
本書は、2つの時間軸が並行して書かれています。
スペイン内戦がテーマで書かれた「ゲルニカ」。1943年のパリ万博の出品のため書かれたこのころは、ヨーロッパにナチスの足音が響きつつある頃。
そしてに読んだのがロシアがウクライナ侵攻をした2022年。どうしても読んでいるときにウクライナ侵攻を思い浮かべずにはいられませんでした。
現実的には核武装論まで出て生きている今の日本。ピカソやこの本の主人公のように文化で戦うというのはお花畑なのかもしれません。軍備強化を図るというのは頭ではわかっているが……。
自分にできることで、戦争を非難したということは胸を打つものです。
人の愚かさというのは愚かさを繰り替えすものだと思う、読了後です。