Life is a showtime

やりたい事とか日記とかをつれづれなるままに……

(映画)すばらしき世界@109シネマズ名古屋~この世界は生きづらく、美しいというキャッチフレーズに偽りなし

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★★★☆

 

先日「ヤクザと家族」を観たばかりですが、またヤクザ映画(出所後)です。

不器用な殺人犯、出所後の苦悩という点では「ヤクザと家族」にも共通する部分が多分にあります。

母に捨てられ孤児院で育つ。その後暴力団に出入りし、殺人で満期まで刑期に服した主人公。その主人公を演じた役所広司の演技力はすさまじいものがありました。

中盤、主人公が育った孤児院を訪ねていくシーンがあります。

夕焼けに染まるグラウンドで、孤児たちとサッカーをします。そして一人の子どもにすがりつき泣き崩れるシーン。このシーンは、なにも言葉で説明をしなくても涙が溢れました。

世のレールを一度踏み外すとなかなか戻れない。まして最初からレールに乗っていないなんて、だれを責めればいいのでしょうか。それも自分の責任なのでしょうか……。

このレール問題は、レールの上を歩いている人たちにも脅迫観念のように心の根底に横たわっています。一度、外れると戻れない恐怖。だから、何もできない……。現状を守るので精一杯。だけどレールの先がちゃんとつながっている保障もない。

 

娑婆は生きずらい世界。しかし空が広い。

 

映画館を出た時の空は、なんとも複雑な色をしていました。それが世の中だといえばそれまでですが、そんな世の中を憐れむのか楽しむのか。

(映画)ブレスレス@名演小劇場~フェチと深層心理をつなげた映画

 

「ブレスレス」の画像検索結果

 

★★★

映画三昧のここ数日。

今回は、フィンランド映画「ブレスレス」を鑑賞。久しぶりの名演小劇場です。

妻を不慮の事故で失い、死んだように毎日を送っている外科医のユハ。救いを求めた先は、ふと迷い込んだSMクラブだった。喉元を締め付けられ、窒息寸前の生死をさまよう中でだけ、妻と再会できるのだ。

SMを題材にしているのですが、それほどシーンはありません。ただ歯を抜くシーンだけは、見ていて痛い。こちらまでギューってなってしました。

 

心の奥にしまっていた「妻の死」というトラウマをSMによって解放される。SM自体が開けてはいけない扉をあけることですもんね。その先の純愛というか、開放というか。

もう一つの見どころは、SMクラブの女王様役のモナ。めちゃ魅力的です。

 

breath-less.com

(映画)ヤクザと家族 The Family @109シネマズ名古屋~人生の歯車というものは狂いだすと哀しいほど戻せない

綾野剛×舘ひろし「ヤクザと家族」最愛の“家族”が集ったポスター完成、新予告も(コメントあり) - 映画ナタリー

 

★★★★

先日の「花束みたいな恋をした」に続いてみたのがこの作品。抗争ものではない、次のヤクザ映画。

前半はヤクザもの、そして刑務所出所後の後半は一転、社会派映画になる。ヤクザは親分と「家族」の誓いを交わす。そして本当の家族になりたかった男の人生を見事に描いた作品になっています。

反社会的勢力として「義理と人情では食えない」時代として現在が描かれています。そこには、個々の時点では最良(もしくはそうするしかない)の選択肢を選んできたはずなのに、どうしても幸せになれない。

世は不条理……。それを味わいつくさせてくれる、なんとも言えない気分にさせてくれる映画です。

骨太で重いテーマなのに、どうしてもみいってしまう作品でした。

 

www.yakuzatokazoku.com

(映画)花束みたいな恋をした@109シネマズ名古屋~カルチャーと現実の間を見事に描いた作品

本ポスターもお披露目!

 

★★★★

終電で出会った大学生の二人。趣味・好みがあまりにも近く、運命だと思い恋人になる。大学生から社会人への2人の5年間を描く。

 

「はじまりはおわりのはじまり」という言葉が表すように、恋愛のスタートは摘み立ての花のように素敵です。しかし哀しいかな枯れていってしまいます。自分の好きな分野にいること、その一方で社会にでて擦れていくこと、その両立を図ろうと延命するものの日がたった花束のように萎れていきます。

この延長線上で考えると「結婚」というワードも意味深です。それは花束を「ドライフラワー」のようにするという考え方なのかもしれません。

 

もうひとつ、本作の魅力はその演出です。

音楽・本・映画・展覧会・舞台……本人らがそこに価値観を見出していたCINRA&リラックス的なカルチャーワードが本当にたくさんでてきます。古くは「なんとなくクリスタル」、ちょっと前の「モテキ」のように固有名詞で雰囲気を作る手法は、個人的に好きな演出方法です。

 

「他人の本棚を見るとその人がわかる」というのは僕の持論のひとつです。本作でも麦が絹の家に初めて行った時に「まるでウチの本棚」と呟いています。インプットが同じであれば、考え方や好みは必然的に同じになっていきます。

そして「本」を通して、二人の心のすれ違いを表す演出につながります(本屋のシーン)。もう見ていて胸の奥が痛くなります。

 

「カルチャー」という点では、本作が2020年のはじめで終わりを迎えます。コロナ禍でカルチャーが壊滅状態の時に、公開されるという不思議なめぐり合わせ。「カルチャー」は不要不急、そう花束みたいなもの。ただあると生活にゆとりができます。

 

本作は時々、トイレットペーパーを持つシーンが出てきます。トイレットペーパーって超現実的な物品です。花束や「カルチャー」とは正反対の位置づけですよね。そしてそれらが同居するのが、現実なんだと思います。カルチャー(夢)と現実をどう同居させるのか。

 

これは感受性豊かな時の恋愛の物語。気があう人とは、朝までしゃべっても飽きません。僕にもあったような気がします。

そして気づきます。あの頃には多分、戻れないということを。

なんと味わい深い作品なんでしょう。

 

hana-koi.jp

(読書)アイドルエコノミーで稼げ! ―“空き資源"は宝の山/大前研一

アイドルといっても、乃木坂とかではない。アイドリングタイムのアイドル、つまり空きスペース(時間)についての本。

シェアリングエコノミーともいえます。ただ一般的なシェアのイメージ(車やスペース)だけでなく、企業の資産としてのアイドリングについての事業も紹介しています。

例えば、印刷についてのラクスルのビジネスモデルなどは、確かにこれはすごい発想だと思います。

 

ちなみに本書は、大前さんだけでなく、ネスレラクスル、日本交通の代表が寄稿した章も掲載されており、これらが約半々で構成されています。

簡単に読めてしまいます。

 

 

尾張四観音へお参り。4日間かけて走って行ってみた。

もうすぐ節分ですね。今年は2月2日になります(珍しい!)。

ということで名古屋の周りにある4つの観音、尾張四観音を走ってめぐってきました。

尾張四観音とは、荒子観音中川区)・甚目寺観音(あま市)・龍泉寺観音(守山区
笠寺観音(南区)の名古屋市の周辺にある4つの観音寺を指します。

ja.wikipedia.org

 

まずは、笠寺観音

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順番としては、家から近い順にしようと思い、まずはおなじみ笠寺観音へ。名古屋の観音様といえば、笠寺観音のイメージです。旧東海道沿いにあり、熱田神宮から旧東海道を通れば、この笠寺観音の門前につながります。

ちなみに笠寺観音は、今年の恵方でもあります。

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ついてびっくり今改修中なんですね。なにやら無機質な社務所が建設されていました。

2カ所目は荒子観音

2つめは荒子観音へ。自宅から片道8キロほど走ることになります。個人的に懐かしい八熊通を西へ、中川運河をこえた先にあります。

行ってみてわかったのですが、このあたりは結構、路地などが残っています。戦争で焼けなかったんでしょうね。

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こちらが荒子観音

近くに前田利家の生誕の地があるということでよってみました。

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荒子城跡があり(今は普通の児童公園)、天満宮(といっても小さな社)とともに碑がありました。

3カ所目は、龍泉寺観音

3カ所目は、守山にある龍泉寺観音へ。名古屋の人にはおなじみの「龍泉寺の湯」の隣にあります。

龍泉寺の湯」のテレビCMでは、「ここは名古屋の別天地」というフレーズがあり、高台からの一望できる温泉として有名です。

そう高台にあるのです。

自宅からも9キロとなかなか遠くなってきました。

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こちらが龍泉寺観音。こじんまりとしていますが、きれいなお寺でした。

鐘が1回10円で突くことができます。そしてこの鐘楼から庄内川春日井市を見渡す景色はなかなかのものです。ちなみにこのように見晴らしがいいことから戦国時代には軍事上の要所として城も築かれていたそうです。

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往復で20キロほど走ることになり、さすがに疲れてきました。

4カ所目は、甚目寺観音

いよいよ最後の観音様、甚目寺観音になります。なんとあま市ということで、名古屋市内ではありません。

自宅からは12キロほど。なかなか遠いです。

 

名古屋駅から中村区の清正公道という旧道をひたすら西へ走ります。名古屋競輪場から庄内川を渡ってあま市へ。さらにおそらく甚目寺観音への参道がもとになったのであろう斜めに伸びる道を通って甚目寺観音へ。

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4つの観音を巡ってきましたが、この観音寺が一番立派。

建立は597年。法隆寺四天王寺についで、古い歴史があるということです。立派な仁王門は、源頼朝による修復が行われたという歴史もあるそうです。

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さすがに甚目寺観音からの帰路は途中でバスに乗りましたが、25キロほどのジョギング。かなりマラソンの練習にもなりました。

 

さて今回4カ所の観音様にお参りしましたが、疫病退散を祈願してきました。はやくコロナが終息しますように。

 

 

(読書)82年生まれ、キム・ジヨン

昨年観た韓国映画「82年生まれ、キム・ジヨン」。韓国で社会現象にまでなった小説が原作ということで、読んでみました。

lifeisashowtime.hateblo.jp

 

比べて読むと、映画と微妙に構成が違うのがわかります。映画は現在と過去が互い違いに構成されているのに比べて、小説は、基本的に生い立ちの過去から進んでいます。なので、ある女性(キム・ジヨン)の生い立ちが順序だててわかるようになっています。

その過程で、ずっと女性であるということで、社会的に不遇となり続けていることがわかります。

そして男性は、そのことを経験もしたことがないので想像できない。根底的な溝が横たわります。

 

もうひとつ82年。つまり現在の40歳前後という世代の問題もあるのかと思います。人口的にもおおい親世代。時代は変わったとはいえ、まだその影響は強く残ります。

日本においても就職氷河期といわれるように不遇の世代なのだと思います。キム・ジヨンの母、それでも娘には娘の人生をというスタンスなのが救いです。

なんだか読んでいて哀しくなる、そんな小説です。

嘆くしかないのでしょうか。

 

82年生まれ、キム・ジヨン

82年生まれ、キム・ジヨン