時々読んでいる橘玲さんの新作になります。年末年始にkindleにて無料配信されていたので読ませていただきました。
ネット界隈で「2億円損をする」ということに対して反論が広がったことに対して、ちゃんと本を読んで欲しいということで無料公開を決めたということです。
本書は女性の立場にたって書かれています。しかし結婚を考える独身男性もぜひ読んで損はありません。
本書で述べられているのは、「専業主婦はなぜ損をするのか」ということを大きく分けて2つの角度から検証されています。
・結婚後(あるいは出産後)の収入の放棄
・お金を夫に依存することによって、個人の経済的自由がない→幸福度が低くなる
1つめの収入放棄についてはわかりやすいですね。これがいわゆる2億円という根拠になります。金額の大小はあるでしょうが、1億円以上を放棄するのは事実でしょう。
2つ目の経済的自由については最近の著者の方で繰り返し述べられるトピックスになります。
著者が常々述べているのは、「依存するな!」ということです。本書は専業主婦にフォーカスしているので、経済的自由について夫に依存する危険性を述べています。実際、経済的観点から離婚できないケースも出てきます。
「依存せず独立する」という考え方について
本書をはじめ著者の本では、依存を大いに嫌います。
専業主婦は夫に依存、会社員は会社に依存、しいては国民は国に依存。。。。組織というものに属すると依存する場所ができてしまいます。これを解決するには、個人で経済的自由を獲得しておく必要があります。
専業主婦ではなく共稼ぎ、会社員ではなくフリーエージェント、国民ではなく???。著者が提唱するのはこのように動ける個人の時代の象徴なのだと思います。
資本と幸福の関係
「依存」とともに著者が最近述べるのが3つの資本についてです。
つまり「人的資本」「金融資本」「社会資本」の考え方です。
- 人的資本:労働力
- 金融資本:貯蓄
- 社会資本:絆
この3つが有無でだいたいの人を分類できるということです。
ちなみに幸福は社会資本からやってきます。多くの人から必要とされたり、愛されたりすることによって幸福が生まれるということです。
3つの資本のうち2つ以上もっているととりあえずは安心です。逆にいうと1つもないと貧困になってしまうということです。
専業主婦というのはこの人的資本を放棄することになります。また金融資本も夫に握られる可能性があります。そうすると社会資本しか残っていないという危うい立場ということになります。
この3つの資本の考え方については非常に面白く読ませていただきました。同じ著者の
幸福の「資本」論―――あなたの未来を決める「3つの資本」と「8つの人生パターン」
ではこのあたりを詳しく書かれているということですので、こちらも読んでみようと思います。
僕自身、結婚相手には「何よりも共稼ぎをすること」を求めました。
なのでウンウンとうなずきながら読み進めました。なぜ共稼ぎを求めたかというと、僕に万が一があった場合のリスク分散になるからですね。
著者が依存を嫌うように、僕はリスクを嫌いました。世帯において複数の収入源を持つことは一番のリスク分散になります。これを若いときに直観的に感じていました。おそらく自分の育った環境で父も母も働いていたからでしょう。
そういう意味では、運が良かったのでしょうね。