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(読書)「カッコいい」とは何か/平野 啓一郎~「カッコいい」についてこれだけ考察した本はない!

僕の人生の目標の1つに、「おじいちゃんになったとき、カッコいいおじいちゃんになる」というものがあります。

そんな中、本書を見つけました。

 

そもそも漠然と考えていた「カッコいい」とは何なのか。それを解き明かすのが本書になります。

本書によると「カッコいい」とは、

・魅力的(自然と心惹かれる)
・生理的興奮(「しびれる」ような体感)←著者はこれを最重要視しているようだ
・多様性(一つの価値観に縛られない)
・他者性(自分にはない美点を持っている)
・非日常性(現実世界から解放してくれる)
・理想像(比類なく優れている)
・同化・模倣願望(自分もそうなりたいと自発的に感じさせる)
・再現可能性(実際に、憧れていた存在の「カッコよさ」を分有できる)

という要素があるとしている。

 

特に著者が重要視したのは、2つめの生理的興奮についてでした。「しびれる」という感覚を重視しています。

イベント等において、昨今「体験」を大切にする風潮ですが、「体験」だけでは不十分であり、必ず「体感」がなければならない。「鳥肌が立つ」ような瞬間を味わってもらうことによって、ファンになるということです。

 

本書の凄いところは、この2つ目の生理的興奮についてだけでなく、さまざまな角度(特に言語的、歴史的)から「カッコいいとは何か」を検証している点です。

まとめには「これからのカッコいいとは何か」についても考察がされています。それは「真=善=美」に期待するというもの。ただカッコいいは、時代とともに変化していきます。「シェア」することがカッコいいなんて10年前では考えられていませんでした。

こうした時代間の「カッコいい」の差を使って、古典の再発見につながる可能性も著者は指摘しています(例として、那須与一をあげていました。)

 

政治も「カッコいい」の効果をわかっていて、カッコいいを政治的利用することも度々ありました。代表例は、先の戦争であり、メディアを使って群衆を洗脳していきます。

 

漠然としてた「カッコいい」ということをこれだけ考察してくれる本もないでしょう。

著者が10年来で考えていた本らしく読みごたえたっぷりです。

 

「カッコいい」とは何か (講談社現代新書)

「カッコいい」とは何か (講談社現代新書)