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(読書)逃げる中高年、欲望のない若者たち/村上龍 ~タイトルがあまりにも秀逸で購入

40代になり、つくづく思う。ちょっと上の世代は逃げ切りだなぁと。

そんなことを思っていたところたまたま見つけた本書。タイトルが秀逸で思わず読んでしまいました。

 

生きるとは、とても必死で、あがき、欲深きものだった時代。その時代の申し子だった著者のエッセイ集。

そんな著者の若者論。若い子って欲がないというのはよく言われるが、それを堂々というのもなぁと僕も感じてしまう。ただバブル世代に対して冷静なスタンスも持っているので、若者たちの思想も少しはわかる。

 

ただ本当に、現在の若い子(うちの会社の新入社員~30歳ぐらいにかけてを見ているだけですが)って「あなたは何をしたのか、何をしたいのか」すら認識していない。その欠如は本当にひどい。

 

ただ著者は、若者に発破をかけるわけではない。生きづらいよね。この国に夢持てないよね。せめて自殺せずに生き延びてねというのみ。

 

この国は、ゆっくり衰退していく。著者は繰り返し、それを述べています。

ちなみにこの本は7年ほど前の本。

本書では、「政治とは、外交を除けば、所得の再分配にある」と定義づけられていました。

小泉・竹中は、所得の再分配で企業にお金を誘導する施策を実施し、民主党は庶民に再分配をしようとしたが、結局ない袖はふれないということで、嘘つき政権呼ばわりをされて自滅。

本書がかかれたのは民主党政権のころの話でしたので、ここで論評は終わっています。ただこれは現在も続いています。アベノミクスとは日銀にお札を刷らせ続けた政策で、株高を演出し景気が良いように見せかけたわけで、その間に年金改革など打てる手は打たなかった。

 

この国は、ゆっくり衰退していく。

今でもそれは変わらないし、より深刻に、コロナ禍で少しスピードを上げて衰退しつつある。

うちらの世代は、おそらくギリギリ逃げ切れないんだなぁ……。

 

もはや発破をかけない、夢を見ることを声高に唱えない著者は、おそらく「うまく生き逃れなさい」というメッセージを送っているのだと思う。

逃げる中高年、欲望のない若者たち (幻冬舎文庫)

逃げる中高年、欲望のない若者たち (幻冬舎文庫)

  • 作者:村上 龍
  • 発売日: 2014/08/05
  • メディア: 文庫