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(読書)上級国民 下級国民/橘 玲

社会をわかりやすく解説してくれる著者。今回のテーマは2019年にトレンドワードの一つになった上級国民・下級国民について。

「上級/下級」の分断は、日本ばかりではない。アメリカのトランプ大統領選出、イギリスのブレグジット(EU離脱)、フランスの黄色ベスト(ジレジョーヌ)デモなど、欧米社会を揺るがす出来事はどれも「下級国民」による「上級国民」への抗議行動だ。

特に面白いのは第一章。「下級国民」の誕生とこれから起こることの解説の部分。

平成時代は、団塊世代の雇用を守るという政策をとりました。これによりはじかれたのが若者(特に男性若年層)の非正規雇用の増大でした。氷河期世代の誕生です。

そして現在、働き方改革が進み始めたのは、団塊の世代が退職し始めたから。そうなるべくしてこの政策がとられたのです。ただ時すでに遅し…。割を食うのは団塊ジュニア世代~氷河期世代です。

そして令和の20年で起こることは、高齢者の年金を守るための20年になるということ。

平成の日本は「働き方改革」をあきらめる代わりに「社会保障改革」に専念すべきでいた。(中略)

しかしこの千載一遇の機会を逸したことで、もはやこの国に選択の余地はなくなってしまったのです。

その後2040年になれば高齢化率は下がってきます。この持久戦を耐え抜けば、「下流国民」があふれる貧乏くさい社会がまっており、失敗すれば日本人の多くが難民化する「国家破産」の世界がやってくると著者は述べています。

まぁ人口動態は一番予想できるものですので、ほぼ当たるのでしょう。

最低賃金問題にも触れられており、最低賃金を上げるということは、より若者の失業率を上げるという結果にしかつながらないと述べられています。フランスしかり、韓国しかり。れいわ新選組はここをわかって政策を設定しているのでしょうか…。

 

もうひとつ本書で面白かったのは、男と女を生物学的にみて、「モテ」「非モテ」を検証しているところ。著者が最近お得意としている考察です。

簡単に言うと、子孫を効率的に残すために男は「乱交」をし、女は「選り好み」をするというものです。

女性が社交的、海外留学が多いこともこれも生物学的に説明している点はなるほどと思っています。

 

上級国民/下級国民 (小学館新書)

上級国民/下級国民 (小学館新書)

  • 作者:橘 玲
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2019/08/01
  • メディア: 新書