★★★
アニメなのでという理由で子どもたちと鑑賞。
被災地が舞台のアニメでした。
児童文学作家・柏葉幸子が東北の民話を盛り込みながらつづった同名ファンタジー小説をアニメーション映画化。ある事情から家を出た17歳のユイと、両親を事故で亡くしたショックで声を失った8歳のひより。それぞれ居場所を失った2人は、不思議なおばあちゃん、キワさんと出会い、岬に建つ古民家「マヨイガ」で暮らすことに。そこは“訪れた人をもてなす”という、岩手県に伝わる伝説の家だった。マヨイガとキワさんの温もりに触れ、2人の傷ついた心は次第に解きほぐされていく。そんなある日、「ふしぎっと」と呼ばれる優しい妖怪たちがキワさんを訪ねてマヨイガにやって来る。
被災地が舞台なのですが、どこか穏やかな導入。そして妖怪たちが出てきてもホンワカしています。大竹しのぶさんが声を務めるおばあちゃんキャラがいいです。どんとこい!という安心感が出てます。
さて本作のあらすじとして、「アガメ」という妖怪と戦うことになります。この「アガメ」は人々の心のスキマだったり、不安だったりで大きくなっていくという設定になります。震災で人々のココロが不安定だったところに生まれる、ちょっとしたスキマ。そこに入り込むもの。
この人の心を食べて大きくなる妖怪の設定というものは、時々登場します。
本作は震災をテーマにしているので、それがよりリアルなものとして感じることができます。あの地震から10年が経ちました。
そして今、コロナ禍ということで、また人々は不安になり、確執があり、嫉妬があり、糾弾しあっています。「アガメ」は今、そうしたものを食べて大きくなっているのだろうなぁと感じてしまいました。
アガメとの対決シーンはあっという間に終わります。映画としてはここで一捻りがあった方が盛り上がるのは、制作陣も当然わかっていたと思います。
だけど本作が伝えたいのは、そうした表面的な面白さではなく、社会の本質的なところへの問題提起だったのでしょう。
映画の終盤、こんな言葉が出てきます。
みんな、自分ができることをやるのよ
それしかないんだろうなぁ。このそんなメッセージが伝わる映画でした。