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喪失と再生、死が内在する生、村上春樹が常々テーマにする要素が多分に含まれた作品~映画「ドライブ・マイ・カー」

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★★★★

遅ればせながら『ドライブ・マイ・カー』を観てきました。

小学校5年生の時に『ノルウェイの森』を読んで以来の村上春樹好きとしては、素晴らしく村上春樹ワールドを体現してくれた作品でした。

 

村上春樹が多くの小説の中でたびたびテーマとして取り上げてきた、主人公が喪失。本作では妻の喪失。そしてその喪失を埋めるための再生への工程(本作は、ほとんどがこの時間になる)。

 

そして、『ノルウェイの森』をはじめ、多くの作品のテーマに登場する、死を内在する生。

死は生の対極としてではなく、その一部として存在している。

これは『ノルウェイの森』で堂々と太字でかかれていた文です。

どう喪失と向き合うか、そしてそれを受け入れて生きていくか。トンネルから抜け出すか。その過程が描かれた3時間でした。

 

まさしく村上ワールド全開です。

 

濱口竜介監督の独特の平坦な会話劇、少し音がずれて早めに入るシーン展開の多用などもボディブローのように、映画の世界観を作っています。演劇が詳しければより楽しめる作品でしょう。

 

会話劇として、印象的だったのは、「だから人は仕事をするのです」というような意味のフレーズがありました。喪失を忘れるために人は淡々と仕事をする。

 

そう明日に向かって仕事をするのです。

 

dmc.bitters.co.jp