名作ということで読んでみました。
ロンドンの高名な紳士、ジキル博士の家にある時からハイドという男が出入りし始めた。彼は肌の青白い小男で不愉快な笑みをたたえ、人にかつてない嫌悪、さらには恐怖を抱かせるうえ、ついに殺人事件まで起こしてしまう。しかし、実はジキルが薬物によって邪悪なハイドへと姿を変えていたのだった……。
人間の心に潜む善と悪の葛藤を描き、二重人格の代名詞としても名高い怪奇小説。
今回は、新潮文庫の新訳版です。これが100年前に書かれたとは思えないほど読みやすかった(訳が良いかも)です。
最初は、ハイドをコントロールしていたジギルだが、どんどんコントロールができなくなっていくあたりは身に迫る感じでした。
読了後、このコントロールしていたものがコントロールできずに自分を支配していく感じってなんだろうと考えてみると、薬や浮気なのではないのでしょうか。
薬は本作の物語そのものなので置いておくと、馴染みがあるのは不倫となります。
最初はお遊びのつもりだったのが、どんどんのめり込んでいき家庭を破壊する。本妻と浮気相手の間で心が揺さぶられる。浮気が本気になったりするのです。
そんな浮気が本気の領分を攻めいってくる心情を本作は見事に描いていました。
そして良心の呵責があるからより悩み、最後には命を絶つわけです。
